研究課題/領域番号 |
24760184
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
酒井 悟 信州大学, 工学部, 准教授 (90400811)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 油圧ロボット / インピーダンス制御 / ポートハミルトン系 |
研究概要 |
H24年度は下記の3部分テーマについて研究を実施した。[S1]エネルギ源を考慮したロボットのモデリングと同定 [S2]多自由度油圧アームのCasimir関数に基づくインピーダンス制御法と制御工学的実験 [S4]Casimir関数に基づくインピーダンス制御法の理論展開 ---------------------------- [S1]電動アームには無い性質として 1)全リンクに共有するパラメータが(多自由度の場合は常に)未知である,2)適当なパラメータに対して状態方程式の解軌道が存在しない,の2点から油圧アームを特徴付けて,電動アームのための従来の同定法では解決できない同定問題を解法を提案して,実験的にエネルギー源を考慮して実証した.得られた研究結果は学術論文雑誌に投稿中である.ただし理論的にエネルギー源を考慮するに至っていないため,H25年度の課題である. [S2]油圧アームのインピーダンス制御問題の解法であるカシミール関数に基づくインピーダンス制御法に基づいて,[S1]の実験機の1自由度油圧アームモードについて制御器設計と制御工学的実験を実施した.得られた研究成果は国際会議論文に投稿中である.ただし多自由度の場合の制御器設計と制御工学的実験には至っていないため,H25年度の課題である. [S4]国際会議IFAC LHMNC 2012, IEEE ICRA 2012における指摘に基づき,従来方法との理論的比較などに関して,理論的・数値的な検証と理論展開を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の3つの部分テーマについて,[S1]では実験的だけでなく理論的にエネルギー源を考慮するモデリング,[S2]では1自由度だけでなく多自由度の制御工学的実験 をH24年度に実施できなかった.しかし一方では,想定外の結果(実験的にエネルギー源を考慮したモデリング=多自由度油圧アームのパラメータ同定,順動力学計算の高速化)が得られつつあるので,全体としては順調に進展していると評価する.[S3]では申請に沿ってH25年度も実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は下記の2部分テーマについて研究を主に実施する。[S3]多自由度油圧アームのCasimir関数に基づくインピーダンス制御法とロボット工学的実験 [S4]Casimir関数に基づくインピーダンス制御法の理論展開 ---------------------------- [S3]提案するインピーダンス制御手法の効果を可視化するため,制御性能だけでなく作業性能を定義できる比較実験を実施する. [S4]体系化されつつある物理系の制御理論,特に,Achievable Dirac structureとの関連が現段階で不明確である.そこで本段階では,提案法を制御理論の枠組内で精密化して,設計の条件と自由度を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
[S1]理論的にエネルギー源を考慮して,かつ,流量センサ(日本フローコントロール・VSI02)(3×350千円)を購入して2つのアクチュエータと1つの油圧源に関する流量干渉を計測してモデリングを実施する.(平成24年度はVSI02の選定検証に想定以上の時間を要したため,購入を見送った.このため次年度使用額が生じた.) [S2]圧力センサ(キーエンス・AP-V80)(2×175千円)を購入して,3自由度の場合の制御器設計と制御工学的実験を実施する. [S3]電子部品・機械部品・実験用資材(800千円)を購入して, 3自由度の場合のロボット工学的実験を実施する.
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