研究課題/領域番号 |
24760185
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 智 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (90571274)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 無人航空機 |
研究概要 |
本年度は、各種無人ヘリコプタの数式モデルの導出,導出した数式モデルを用いた運動解析,及び次年度に行う各無人ヘリコプタの自律化に向けた制御システムの構築を行った. まず,同軸二重反転式ヘリコプタと交差反転式4発ロータヘリコプタという2つの特殊な形態を持つヘリコプタの運動方程式をマルチボディダイナミクスの一手法である速度変換法を用いて導出した.また,ヘリコプタのロータが発生する空気力を考慮するため,ロータ空気力学を用いてそれらの空気力の導出を行った. 続いて,導出されたモデルを用いた数値シミュレーションによって当該ヘリコプタの運動解析を行った.特に,同軸二重反転式ヘリコプタに関して実機を用いたフライト時に問題となっていた巡航飛行速度及び機体下部の振動解析を行い,飛行速度を向上し,機体下部の振動を低減する機械パラメータを求めた. さらに,次年度に行う各ヘリコプタの自律制御に向けた準備としてヘリコプタの制御システムの構築を行った.交差2重反転式ヘリコプタに組み込みコンピュータとセンサから公正される制御装置を搭載し,飛行テストを繰り返してシステムの調整を行った.また,風等の外乱を無視した純粋な制御性能を考察するために,屋内において制御実験を行うことができるシステムを光学式モーションキャプチャと慣性センサを組み合わせることによって構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では,初年度は各ヘリコプタのモデルの導出及び運動解析のみを行うこととしていたが,本年度は当初の計画に加えて次年度の制御システム構築まで行うことができた.それによって次年度の研究計画を当初の予定よりも早く進めることができるようになっているため,現在,本研究は計画以上に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,導出された数式モデルを用いたモデルベースの制御系設計を行い,各ヘリコプタの自律化を行う.研究のプラットフォームであるヘリコプタとヘリコプタを制御するためのシステムの構築は既に完了しているため,制御系設計,シミュレーション,制御実験を繰り返し行うことで高精度の自律制御を実現する.そして,最終的に実験から得られた各ヘリコプタの制御性能と本年度に行った運動解析の結果を基にして,無人ヘリコプタの制御性能に大きく影響を与える設計パラメータの解明を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は実験時の機体の損耗が想定よりも少なかったため次年度使用額が生じた.次年度は特に屋内外でのヘリコプタの制御実験を繰り返し行うため,予備バッテリなどの消耗品の購入に予算を適用する.それに加えて次年度の請求予算を用いて実験時の機体状態のモニタリング及び実験データの保存に用いるノートPCを取得する.また,実験を繰り返すうちにヘリコプタが損耗する可能性が高いため,機体修理に用いる部材等の取得を逐次行う予定である.
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