本研究は、長周期地震動を再現する振動台に焦点を当てた、振動台の地震加速度波形再現性能を劣化させる要因の分析とそのモデル化、および波形再現性能向上を目指した制御系設計論を学理に即して構築し、加振設備及びその制御技術の新たな展開を切り開くことを目的としている。平成25年度は、平成24年度で得られた知見を基にして、下記2項目について取り組んだ。 (1)長周期地震対応振動台では、油圧加振機のピストンを動作範囲が長くなるため、シリンダ体積が大きくなる。それにより、油の量を制御するサーボ弁において入出力関係が非線形となる、あるいは剛性低下により共振周波数が低下して、十分な制御帯域を確保することができなくなる。これらの問題に対し、2自由度制御系をベースとして、圧力・加速度センサフィードバック制御を基軸とした振動抑制制御系を設計し、実機実験によりその検証を行った。さらに、非線形特性の数学モデルを構築し、モデルを基にフィードフォワード補償器、フィードバック補償器を設計して、その有効性を実機実験により検証した。 (2)複数アクチュエータを併用した際の動作干渉抑制制御手法を確立するために、数値シミュレータの構築を行った。さらに、構造物の弾性変形に起因する共振振動を模擬するシミュレータを構築した。具体的には、制御系設計ソフト、機構解析ソフト、構造解析ソフトを連成することで、実現象を再現可能なモデルを構築することができた。さらに、そのシミュレータを用いて動作干渉を抑制するための補償信号を構築した。
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