研究課題/領域番号 |
24760189
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 卓実 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (80343432)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 防振 / 座屈 / 非線形振動 |
研究概要 |
機械・構造物と周囲の環境の間を伝達する垂直方向の振動の低レベル化,さらに従来品よりも大幅に小型化・簡便化・高性能化した垂直方向パッシブアイソレーターの開発をめざし,L字型はりの座屈を用いた防振装置の基本的な力学特性の把握に努めた.具体的には,以下の項目を検討した. ・基本構造が座屈する際,2つの座屈モード(安定座屈モードおよび不安定座屈モード)の非線形復元力特性および局所剛性を有限要素法の数値解析により定量的に明らかにした.また,座屈後の復元力特性の非線形性にも着目し,復元力を非線形関数近似した.また,不安定座屈モードでは,座屈後の負の勾配を相殺する線形ばねを負荷したモデルの解析を行い,アイソレーターとして理想的なゼロ勾配の実現性を検討した. 有限要素法による数値解析により,座屈後の基本要素の固有振動数解析および周波数応答解析を行った.この際,モデルを座屈させるだけの質量を垂直荷重点に付加し,座屈させた後の解析を行った.なお,周波数応答は,座屈後の静的平衡点近傍で線形化したモデルに対して解析を行った. 安定座屈モードおよび不安定座屈モードの実験を行うための実験モデルをそれぞれ作製した.実験モデルを用いて,まず,それぞれの座屈モードの非線形復元力特性を実験的に検証した.さらに,はりを座屈させる重量をもつ物体を垂直荷重点に取り付けて基本構造を座屈させた後に,打撃試験,および加振台上でスイープ試験を行うことで,固有振動数および周波数応答特性を明らかにした. 上記により,はりの座屈を用いた防振装置の実現に向けた最も基本的,かつ非常に重要なデータを得ることが出来た.また,研究成果は学会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,平成24年度に行う内容として挙げた内容は,ほぼ遂行することが出来た.その中で,数値的な計算結果と実験結果から,当初期待した成果を得ることが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
平成 25 年度の研究では,アイソレーターとしてより高い信頼性,実用性をもたせるため,以下の項目の検討を行う. ・前年度行えなかった,はり内部の振動モードの実験的な計測を行う. ・静的平衡点近傍の非線形復元力特性を考慮した非線形定常応答の数値解析を行う.前年度求めた非線形関数を考慮し,静的平衡点近傍での非線形定常応答解析を行い,各種の非線形共振現象(分数調波共振,高調波共振など)の有無を確かめる.非線形共振がアイソレーターの性能に大きな影響を与える程度のものであれば,構造を変更することで線形固有値を変更し,非線形共振が発生しない条件を検討する. ・はりの高次モードの振動を抑えるための減衰要素の設置法も検討する.はりの高次モードのみに有効な減衰要素の設置法を検討し,実験によりその有効性の確認を行う. ・小型実験モデルを作製し,使用可能な周波数領域を広げるとともに,より実用的な装置へと改良を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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