研究課題
脳血管疾患、脊椎損傷、寝たきりなどによる手の麻痺等の機能障害は、下肢に比べ実用的レベルにまで回復することが難しく、患者のQOLを著しく低下させる要因となっており、効果的な治療が重要な課題となっている。本研究では、手指関節機能(掌屈・背屈運動)に障害をもつ方を対象に、人間と機械を複合融合させる装着型ハンドを活用し、効果的な治療ための脳の可塑性に基づいた運動機能再建支援システムを開発することを目的とする。本研究で開発した装着型ハンドは、作業療法の知見に基づいたアシストを可能にするアクティブジョイント機構を開発し、中手指節間関節から近位指節間関節,次いで遠位指節間関節へと力が伝わる機構を実現した。また、脳機能再構成を促進するための受動的運動パターン生成器を開発し、連続的な運動訓練動作として掌屈・背屈運動がシームレスに切り替わる運動パターンを生成することを可能としている。さらに、運動指令を形成する随意・自律複合制御機構の開発として、初期の微少な掌屈・背屈運動を運動意思となるトリガー信号とし、上記の運動パターンを生成する手法を実現した。開発した装着型ハンドの各素技術の問題点の抽出・改良,及び,安全を健常者で確認した後,対象患者に対する実証試験により,本システムの有用性の評価を実施した.実証試験の結果,脳血管疾患後の片麻痺によって共同運動により掌屈・背屈運動が困難な被験者に対して、本システムの基本性能が満たされていることを確認すると共に、装着型ハンドの機能によって、共同運動から分離運動への運動機能の改善傾向を確認した。
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Proceedings of 36th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
巻: - ページ: 2101-2106
10.1109/EMBC.2014.6944031
http://sanlab.kz.tsukuba.ac.jp/?page_id=59