研究課題/領域番号 |
24760199
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
星野 智史 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80431980)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 群知能ロボティクス / 渋滞学 |
研究概要 |
当該年度では,シミュレーションに基づき,レーン上を移動するロボット群が交差・合流するなど,所謂ボトルネックの存在するシステムにおて,混雑していながらも渋滞を形成することなく効果的に移動することを目的とした方法論に関する研究を行った. この方法論においては,具体的に,(I) ロボット間相互作用外力による減速制御モデル,(II) ロボットの行動を規制するための環境ルール,(III) ロボット群の自己組織化的クラスタリング手法を提案し,シミュレーション実験を通じ,それらの有効性に関する評価を行った. (I)~(III)のうち,(I)と(II)は,その有効性が極めて高いものの,各ロボットが,それ以外の全ロボットの情報を把握しておかねばならず,通信コストの観点から実用化に向けての問題があった.そこで,(III)では,前後ロボットとの局所的な情報に基づきロボット群がクラスタリングされ,さらに,クラスタを単位とした少数でのプラトゥーン走行を実現した. ITSの分野で開発された適応的走行制御手法は,それだけではボトルネックの存在するシステムにおいて有効ではないものの,(I)~(III)と組み合わせることで,渋滞を形成せずかつ高速に走行することが可能であることを示した.特に,(III)との組み合わせにより,ボトルネックで長いプラトゥーンが交差・合流する問題が解消され,効率と通信コストの観点から,それらの有効性が示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,最適制御としての適応的走行制御手法のシミュレーション上での実装は,4月中に終わっている.また,(I)のロボット間相互作用外力による減速モデルの開発ならびに実装も5月で完了した.(II)は,その後の6,7月でルールの制定ならびに設定のアルゴリズムを構築し,速度分布の統計的データに基づいた規制の方法を確立した.(III)のロボット群自己組織化的クラスタリング手法に関しても,8~10月期間でモデル化ならびにその実装が終了している. 一方で,当該年度の中期より,適応的走行制御手法と(I)~(III)を組み合わせたシミュレーション実験を行い,その有効性を評価してきた.その際,申請者らの従来研究にて明らかにした「非渋滞時と渋滞時における挙動特定」として,ロボット群の速度に注目し,その平均値と標準偏差を指標として導入した. その結果,(III)のクラスタリング手法について,1. 距離に基づき近いほうとクラスタを構成する,2. 前後のロボットのうち,距離が遠くとも速度が速ければそちらとクラスタを構成する,3. 自己組織的にクラスタが構成されるプロセスにて,不必要に構成されたクラスタを結合する,の3つによって,(I)や(II)のような膨大な情報を必要とする制御手法や環境ルールを用いずとも,適応的走行制御手法と組み合わせることにより効果的な移動を実現した. 以上,目的を達成すべく立てた研究計画は,当該年度ですべて達成されたことから,本申請課題は「おおむね順調に進展している」と評価するに至った.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでは,計算機シミュレーションに基づいた群ロボットの効率的な移動に向けた方法論に関する研究を行ってきた.今後は,実機を用いた実験を行い,(I)~(III)の実世界における有効性の検証を行う. 実環境では,センサデータにノイズや誤差が含まれ,また,ロボット間通信にも遅れが生じる.そのため,センサデータはフィルタリング処理し,自己位置推定法や通信負荷を提言するための方式を開発する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|