研究課題/領域番号 |
24760202
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
関本 昌紘 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 講師 (40454516)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロボティクス / マニピュレーション / 人間機械協調システム / 冗長自由度 / 衝突緩衝 / ロボットアーム / 遠隔作業 / 作業座標フィードック制御 |
研究概要 |
作業座標フィードバック制御を施した冗長自由度ロボットアームの手先位置保持作業において,ロボット体部への外力作用に対して機構の幾何学的な冗長性から力覚センシングや特別な制御無しに緩衝効果が自然に生じ得ること,また,その緩衝効果の出現がシステムの冗長自由度数・関節配置・目的作業に大きく依存していることを実験により確認した.緩衝効果の出現には関節部の剛性が低いことが重要であり,今回,簡易製作した2種類のロボットアーム(6自由度給仕ロボット,グリッパー付き5自由度遠隔操作ロボット)のギヤ比は100:1以下とした.これらの実験機による手先保持作業では,システムに温存される冗長自由度数の増加に伴い,緩衝効果が高くなる結果を得た.しかし,緩衝効果の得られる度合いは目的作業を実現するロボットの姿勢の組の数と密接に関係しており,特異姿勢近傍で目的作業が設定される際にはロボットの動きうる範囲が大幅に制限されるため緩衝効果が得られにくくなる.また,ロボット体部に作用する外力の方向と関節軸が平行になるとその関節は外力に対してリアクションを起こせ(動け)ないため,緩衝効果が得られない.緩衝効果の発揮には関節群のうちのいずれかが外力に対して動ける状態を保つ必要があり,緩衝効果の効果的な獲得のための条件が次第に明らかになってきた. 上記の結果を踏まえ,目的作業を手先の水平姿勢保持に変更し,このときの緩衝効果を6自由度給仕ロボットにより確認した.この場合も同様の結果を確認し,特にロボット体部への衝撃力に対しても,手先プレート部は水平を保ち,プレート上の搬送物を落とさずに保持できることを示した.また,目的作業を手先位置追従とした5自由度遠隔操作ロボットでは,操作中に遠隔側ロボット体部に作用する未知障害物に対してこの緩衝効果を利用することで,操作者は障害物接触に煩わされずに手先作業に集中できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,上記のテーマに加えてロボットアームの設計・部品調達も今年度中に行う予定であった.しかし,課題遂行の中で,昨年度に試作した2つのロボットアームを本課題の推進に利用できることに気づき,これらを用いた緩衝効果の確認実験を優先的に行うことにした.その中で,遠隔操作ロボットの障害物接触に対して緩衝効果を利用することで操作者の操作性が向上するといった緩衝効果の応用利用に関する興味深い結果を得た.今年度実施予定であったロボット設計・部品調達は次年度に持ち越すことになったが,次年度に十分挽回可能で,この程度の遅延は想定の範囲内である.今年度,今後の課題推進の中でコアとなる重要な実験結果を得ることができたため,概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施できなかったロボットアームの設計・部品調達を次年度に実施するように研究計画を修正する.しかし,次年度以降の研究計画は当初案通りに推進する.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度,ロボットアームの部品調達を行わなかったため,それに要する費用が残っている.部品調達は次年度に実施予定であり,当該助成金はその推進において使用する.
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