研究課題/領域番号 |
24760202
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
関本 昌紘 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 講師 (40454516)
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キーワード | ロボティクス / マニピュレーション / 人間機械協調システム / 衝突緩衝 / ロボットアーム / 作業座標フィードバック / 冗長自由度 / 制御 |
研究概要 |
昨年度,作業座標フィードバック制御を適用した冗長自由度ロボットアームによる給仕作業において,人がロボット本体部に力を加えた際,指定した手先姿勢(水平)を保ちつつ外力に対して倣う動作を,力覚センシングや特別な制御無しに,幾何学的な冗長性により実現できることを示した.しかし,この制御法は搬送物の質量情報を必要とし,質量情報無しに指定した手先姿勢を保てない.本年度は,搬送物に関する適応的重力補償を追加・統合した制御法により,この問題の解消を図った.この制御法を所有の6自由度給仕ロボットに適用し,搬送物の質量情報無しに,搬送物の有無・質量の異なる搬送物に対して指定した手先状態を維持できること,ロボット本体部への外力に対してこれまでと同じ倣い動作を得られることを確認した. 作業座標フィードバック制御の目標値にロボットの手先位置軌道を与え,運動中にロボット本体部が障害物と衝突する場合の軌道追従性について,所有の5自由度ロボットアームにより調査した.手先速度0.2m/s程度の動作実験を行い,衝突時の最大手先誤差は数mmであること,衝突後も幾何学的な冗長性により姿勢変形が自然に起こり,接触状態が続いてもある程度の追従性が保たれたことを確認した.さらに,ロボットに対して障害物の位置や形状が変わらない場合では,繰返し学習を追加・統合した制御法により,この最大手先誤差を1/20まで減らせ,力覚センシング無しに障害物衝突時でも追従性を保持できることを確認した.繰返し学習では障害物接触時の入力トルクが過大となるが,この統合制御法ではシステムの幾何学的な冗長性のおかげで,そのような問題が生じにくくなることを確認した. 上述の自由度冗長性の外力緩衝効果を活用した制御法の検証に加え,人の腕サイズのロボットアームの設計,省スペースモータユニットの開発,制御系の構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットアームの設計開発については,本課題の推進過程で明らかとなった事柄を踏まえた再設計を行ったこと,政治的要因により調達物品の納品が遅れたことから,当初の予定から少し遅れている.しかし,その他の部分について計画を前倒して実施したため,研究課題全体としては概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って実施するとともに,遅れているロボットアームの開発を重点的に推進する.
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次年度の研究費の使用計画 |
ロボットアームの開発に関して,本課題の推進過程で明らかとなった結果を踏まえ,再設計・調達物品の見直しを行ったため.また,政治的要因により調達物品の一部に次年度納品となる案件が生じたため. 当初案通り,ロボットアーム開発に使用する.
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