研究課題/領域番号 |
24760203
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
新田 高洋 岐阜大学, 工学部, 助教 (20402216)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | モーター蛋白質 / 細胞骨格 / アクチュエータ / 微細加工 / キネシン / 微小管 |
研究概要 |
モーター蛋白質によって駆動されるサルコメア様マイクロアクチュエータを開発するために、以下の研究を行った. 1.微小管やキネシンの足場となる円柱形微粒子の作製.円柱形微粒子は、フォトリソグラフィ―法を用いて、SU-8で作製した.シリコン基板上に、犠牲層となるLORをスピンコートし、その上にSU-8の円柱を作製した.犠牲層を除去することで、円柱形微粒子を作製した. 2.SU-8表面への蛋白質の結合.EDCとNHS を用いて、SU-8表面に蛋白質を固定した.今回は、IgGを用いて、IgGのSU-8表面への結合を確認した.蛋白質がSU-8表面に結合したかどうかの確認には、蛍光標識したIgG抗体を加え、SU-8表面に蛍光が観察されるかどうかで確認した.確認の結果、IgG抗体からの蛍光を確認することができ、IgGのSU-8表面への結合が確認された. 3.設計を支援するコンピュータシミュレーションの開発.微小管を弾性棒として扱い、キネシンなどの微小管結合蛋白質や微細加工壁との相互作用を考慮したシミュレーションを開発している.作成したコンピュータシミュレーションの妥当性を評価するために、微小管が微細加工基板上をキネシンによって駆動される際の運動を、実験結果と比較した.シミュレーション結果は、実験と類似の傾向を見せたが、定量的な一致は見せなかった. 4.構造最適化プログラムの作成.円柱形微粒子の構造最適化に向けて、遺伝的アルゴリズムのプログラムを作成した.この手法の妥当性を検討するために、これまでに開発した微小管滑り運動を制御するトラック設計シミュレーションを用いて、最適化を行った.この結果、構造探索について、良好な結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長期海外出張のため、微細加工などの実験研究はやや遅れ気味となってしまった.しかし、帰国後は遅れを取り戻すように努力し、円柱形微粒子の作製や、円柱形微粒子表面への蛋白質の結合方法について積極的に研究を行った.これにより、遅れを取り戻しつつある. 一方、シミュレーションについては、計画よりも早く進展している.シミュレーションの基本的な部分である、微小管やモーター蛋白質の取り扱いや、微小管と微細加工構造物との相互作用などの部分はほぼ完成した.現在、シミュレーション結果の妥当性を確認中である.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って研究を推進する.ただし、今年度完了することが出来なかった蛋白質の円柱形微粒子各面への結合方法と、DNAの円柱形微粒子への結合方法について重点的に研究を行う.これにより、当初の研究計画からの遅れを取り戻す予定である. また開発中のシミュレーションの手法を再検討し、定量的な予測が行えるように改善する.その後、良好な結果を得ている構造最適化プログラムと組み合わせて、マイクロアクチュエータの設計に積極的に利用する.これにより実験研究の効率化を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は,消耗品と旅費として使用する.消耗品としては,シリコンウェーハ―などの微細加工に使用する消耗品と,蛋白質などの生化学試薬を購入する.旅費としては,微細加工を行うための名古屋大学への出張や,研究打ち合わせ及び学会発表のための出張旅費を計上する. 金額としては,今年度の繰越金と、当初次年度配分額を合わせた金額を使用する見込みである.これは、今年度に実施できなかった実験項目を次年度に繰り越して行うためである.
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