研究課題/領域番号 |
24760203
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
新田 高洋 岐阜大学, 工学部, 助教 (20402216)
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キーワード | キネシン / 微小管 / 微細加工 / マイクロアクチュエータ / シミュレーション |
研究概要 |
モーター蛋白質によって駆動されるサルコメア様マイクロアクチュエータを開発するために,以下の研究を行った. 1.微小管やキネシンの足場となる円柱形微粒子の作製.フォトリソグラフィー法により,直径約10 μm,高さ約10 μmの円柱を一度に250,000個程度作製できるようにした.円柱を作製するための材料はフォトレジストSU-8を用いた.このSU-8円柱をλ-DNAを用いて配列させるために,円柱の上面にのみ金薄膜をつけようとした.このために,SU-8円柱の表面全面に金をスパッタした.さらに犠牲層となるOFPRを金薄膜の上にスピンコートした.その後,SU-8円柱上部を除いて露光・現像した後,金のエッチングを行った.しかし,SU-8円柱の全面で金薄膜がエッチングされてしまい,上面にも金薄膜が残らなかった.この原因は,SU-8の上部にOFPRがコートされていなかったためと考えた. 2.λ-DNAの可視化.円柱微粒子を配列させるために使用するλ-DNAをYOYO-1で染色し,可視化した. 3.設計用のシミュレーションの妥当性の検証.昨年度は,シミュレーションの主要部分を作成できたが,シミュレーションの妥当性を検証のための実験結果との比較では定量的な一致は得られなかった.そこで,実験条件の詳細についても再現してシミュレーションを行った結果,実験との良好な一致が得られた.これにより本シミュレーションの妥当性が示された.また,実験結果についての新たな知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微細加工による円柱形微粒子の作製が遅れている.作製方法の検討と改善を何度も行い,当初計画した方法よりも大幅に単純化することが出来たが,まだ完成には至っていない. また、シミュレーション方法の妥当性を検証するに時間を要した.妥当性の検証のために,実験の詳細な条件を考慮して比較・検討を行うことに時間を要した.しかし,実験結果についての新たな解釈の提示などの知見が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
円柱形微粒子の作製および配列について重点的に研究を行う.当初予定していたプロセスよりも,微細加工のプロセスを大幅に単純化することが出来た.これにより,蛋白質や核酸を配置する足場となる円柱形微粒子作製の効率が向上し,作製における歩留りをおさえることができるものと考える.今後もプロセスのさらなる効率化を図る. また,シミュレーション方法の妥当性が確認出来たので,アクチュエータの設計に積極的に利用する.特に,最適化プログラムと本シミュレーションを組み合わせることによって,実験研究を支援する.
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