ロボット産業は少子高齢化による労働力の減少や作業負荷の増大への対応するため、サービス分野を始めとした新たな分野への発展が見込まれているが、産業ロボットとは異なり、サービス分野へ用いられる次世代型ロボットの特徴として、人の身近で働いても安全であること、軽量・小型・高トルク、低コスト・高耐久性、自然な挙動に近いこと必要となる。本研究では、従来モーターによって動作していたものから空気圧を用いた人工筋を用いたロボットを構成する駆動系を提案・実証した。上記のような次世代ロボットのと駆動系して、半導体微細加工技術により作製されるマイクロ流体回路によって駆動流体を制御するシステムを構築した。従来では空気圧駆動に用いられていた減圧弁(レギュレータ)、方向制御弁(バルブ)の機能を小型化・集積化したマイクロ流体回路によって、軽量・小型・高トルク・高耐久性が実現できる。 マイクロ流体回路を構成する素子として、スライドバルブを用いたノーマリークローズ型マイクロバルブを開発した。これにより、従来では電磁バルブによって開閉を行っていた方向制御を小型化し、さらにノーマリークローズ型とすることで電磁バルブでは動作の維持に必要だった待機時の電力消費を無くすことができた。減圧弁機能としては、MEMS圧力センサを組み込み、フィードバック方式で上記のマイクロバルブを高速に切り替えることで圧力調節を実現した。 これらのマイクロバルブを電子回路で用いられるデジタル回路として構成することで、演算機能を持たせることも実現した。電気信号によるシリアル入力を、マイクロ流体回路内をデマルチプレクサとして構成することで、並列的な動作を必要とする人工筋にたいしパラレルな出力が可能となった。その他にもランダムアクセスメモリのようなアドレス制御の構成も実証した。 今後はこれらの研究成果を元に、軽量・高出力なロボットを作製・実証する。
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