研究課題/領域番号 |
24760222
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
石上 玄也 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (90581455)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テラメカニクス / ロボティクス / 最適化設計 |
研究概要 |
本年度は,(1)不整地走行における包括的車輪力学モデルの構築および実験環境の構築をおこなうとともに,(2)車輪型移動ロボットを用いて,重心位置やホイールベースといった車両パラメータを変化させた場合の走破性能の実験的評価を行った.さらに(3)確率的アプローチに基づいた車輪の最適化設計手法に着手した. まず,(1)においては,車輪の力学特性を高精度で計測できるセンサシステム(6軸力覚センサ,3次元位置計測センサ,車輪駆動用電流センサ)を構築し,実験環境の整備,ならびに基礎データの取得に成功している.また同センサシステムを用いて,走行土壌の固有パラメータの同定実験も実施した.さらに,本研究において提案するる車輪力学モデルの妥当性を数値シミュレーションによって検証した. (2)においては,研究代表者が有するロボットテストベッドを改修し,砂地走行において障害物を乗り越える際のロボットの姿勢安定性と車両パラメータとの力学的な関係性を実験的に明らかにした. (3)においては,SRSMと呼ばれる近似計算アプローチと本研究において提案する車輪力学モデルを融合させ,車輪の最適設計問題を高速かつ解析的に解き明かす手法を構築し,数値シミュレーションによってその妥当性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の(1)~(3)は,研究課題応募時に明記した平成24~26年度の各年度の項目それぞれに該当している.当初予定していた平成24年度の研究項目については未着手の部分もあるが,本年度において,平成25,26年度に関する研究にすでに取り組んでいることから,本研究課題全体としては,順調に推進していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成25年度)においては,まず,車輪の力学特性を計測するセンサシステムの充実ならびに包括的車輪力学モデルの実証実験に取り組む.本年度構築したセンサシステムに,トルクセンサおよび3軸振動センサを組み込むことによって,いわいるセンサフュージョンを行い,計測される力学特性データの解析を実施する.また,剛性やサイズの異なる車輪を複数個製作し,平成24年度に整備した車輪走行試験機を用いて,各車輪の力学特性を計測する.得られた実験データと数値計算結果を比較することにより,提案モデルの汎用性を検証する. さらに,本研究において構築する車輪力学モデルを研究代表者がこれまでに構築したロボットの動力学モデルへ組み込み,ロボット全体の挙動をより正確に表現できるシミュレータの開発を実施する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
上述のように,次年度では,車輪力学特性センサシステムへの追加項目であるトルクセンサおよび3軸振動センサの購入,機械加工費および電子部品調達費に,本課題の研究費を計上する.また,多様な試験車輪の加工製作費に当該経費を充てたいと考える.さらに,シミュレータ開発環境としてのワークステーションの購入経費へも次年度研究費を計上する.本研究を通して得られる成果・知見等を発信するため,国内外の学会の参加費および出張費,雑誌論文への投稿費,ならびに研究打ち合わせへの旅費も,各年度における研究経費としてそれぞれ計上する.
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