平成25年度は一年間の間,毎日茨城大学工学部日立キャンパスにある学生食堂で電力需要と給湯需要の測定を行った。その結果を用いて,SOFC・電気自動車の充電スタンド・ヒートポンプ給湯器から構成されるシステムおよびSOFC・電気自動車の充電スタンド・ガスボイラーから構成されるシステムを学生食堂へ設置した場合の一次エネルギー削減率を試算した。 SOFC・電気自動車の充電スタンド・ガスボイラーから構成される従来型システムの場合,30%程度の一次エネルギー削減率が得れることがわかった。しかしながら,1.現実的な電気自動車の充電を勘案すると,このシステムの場合は電気自動車が駐車場に止まっている可能性が高い時間帯以外にも充電が必要で,電気自動車の充電運用の失敗が発生することが高いこと,2.SOFCが供給する熱のみでは食堂の高い熱需要を満たすことは不可能であるという欠点が明らかになった。つまり,学生食堂のような高熱需要施設において,SOFC・電気自動車の充電スタンド・ガスボイラー空構成されるシステムで,コジェネと電気自動車の充電を行うことは現実的に難しいことがわかった。 以上を克服するために,著者らはSOFC・電気自動車の充電スタンド・電気ヒートポンプから構成されるシステムを提案した。従来型システムに比べて新たな提案システムの場合,30%以上の一次エネルギー削減率が得れることがわかった。さらに,一般的な自動車の駐車時間帯(20時から24時の間)に電気自動車の充電を完了するでき,SOFCの高い発電効率を有効利用して温水を製造することで現実的に問題ないエネルギー運用も可能であることがわかった。 以上より,高熱需要施設でコジェネと電気自動車の充電を行うにはSOFC・電気自動車の充電スタンド・電気ヒートポンプを持つシステム設計が最適で,高い省エネ効果を得られるシステムになるという結論が得られた。
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