研究課題/領域番号 |
24760228
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小島 寛樹 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (00377772)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 電気機器工学 / 超伝導電力応用 / 超伝導ケーブル / 限流器 |
研究概要 |
限流・復帰機能を有する超伝導限流ケーブル(SFCLC)の基盤技術を確立するため、本申請課題では、(1)限流・復帰機能の両立可能範囲の定量化、(2)長尺化に伴う温度・線材特性の分布による限流・復帰特性への影響評価、(3)限流機能の協調を考慮した電力システムにおける最適な適用方法の検討の3項目について明らかにする。 平成24年度では、上記のうち(1)および(2)について検討を行った。 (1)については、大気圧液体N2下だけでなく、サブクール液体N2下における交流に対する超伝導線材の電圧-電流特性を取得し、超伝導線材の電圧-電流-温度(E-I-T)特性を広範囲にわたり取得した。このE-I-T特性が長尺線材で均一に得られると仮定し、超伝導ケーブルの冷却構造を考慮することで、回路方程式と熱方程式の連成計算により、限流特性をシミュレーションし、限流・復帰機能の両立可能範囲を、ケーブル長・負荷率・短絡容量・冷却特性の観点から検討した。 (2)については、まずIcが異なる複数のロットの超伝導線材に対しE-I-T特性を取得し、Icに対する超伝導線材の抵抗発生特性を推定した。得られたE-I-T特性のばらつきを、シミュレーションモデルを1次元に拡張したうえで適用し、限流・復帰特性への影響を評価した。そして、Icが低い領域が小さい場合には、全体の限流・復帰動作には影響を与えず、さらに周囲の領域への熱伝導により局所温度上昇の影響を緩和できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に実施予定であった、(1)限流・復帰機能の両立可能範囲の定量化、(2-1)長尺化に伴う線材特性の不均一性による限流・復帰特性への影響評価ともに、当初の予定通りの成果を上げている。また、平成25年度に実施予定の温度分布の考慮や電力システム導入効果の検討についても、それぞれの計算モデルの構築に既にとりかかっており、順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、当初の予定通り(2-2)長尺化に伴う温度分布による限流・復帰特性への影響評価、(3)限流機能の協調を考慮した電力システムにおける最適な適用方法の検討を進める予定である。 (2-2)については、平成24年度の研究において1次元に拡張されたシミュレーションモデルに、冷却構造から推測される初期温度分布を与え、限流・復帰特性への影響を評価する。温度分布の評価については、既に着手済みであり、平成24年度と同様に定量化を進める。 (3)については、超伝導限流ケーブルの動作特性が、限流時の抵抗発生速度や時間進展、故障除去後の超伝導状態への復帰動作などが電力システムからの要請と整合するための、最適な超伝導限流ケーブルの限流・復帰特性や電力システムへの導入方法を検討する。既に、適用系統モデルの検討は始めており、平成25年度では系統解析ソフトウェアを用いた系統安定度との関係についての検討も行うことを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度において、超伝導線材のE-I-T特性のばらつきを評価するため複数のロットの超伝導線材に対してE-I-T特性を取得したが、ばらつきの分布まで評価するにはデータ数が不足しているため、超伝導線材を追加で購入することを予定している。 また、平成25年度に実施する系統モデルにおける計算において、当初の想定よりも多くの計算量が必要であることがわかってきたため、計算機のハードウェア及びソフトウェアの増強に主として繰り越した研究費を充当する予定である。
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