限流・復帰機能を有する超伝導限流ケーブル(SFCLC)の基盤技術を確立するため、本申請課題では、1.限流・復帰機能の両立可能範囲の定量化、2.長尺化に伴う温度・線材特性の分布による限流・復帰特性への影響評価、3.限流機能の協調を考慮した電力システムにおける最適な適用方法の検討の3項目について明らかにする。平成26年度では、上記のうち3について、平成25年度に引き続いて検討を行った。 研究項目3:現在の電力システムは複雑なネットワークを構成している。そのため、実際の電力システムにSFCLCを導入する際には、並列ルートに故障電流が回り込むことがあるなど、互いの限流動作への影響が考えられ、各SFCLC間の限流協調が重要となる。これまでに、2つのSFCLCが並列に導入された系統を想定し、故障点による限流動作の違いを検討し、SFCLCはそれぞれ単独で導入された場合とほぼ同じ限流動作をすることを明らかとしてきた。平成26年度には、より複雑なRoy Billinton Test SystemにSFCLCを複数導入した場合について解析を行った。解析においては、電力系統解析ソフトウェア(PSCAD/EMTDC)上でSFCLCの動作を実現するモデルを構築した。これにより、過電流を抑制する効果のみならず、発電機の安定度に関しても評価可能となった。異なる限流率の限流器による安定度を検討した結果、固有短絡電流に対する臨界電流の適切な設定範囲を見出した。
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