研究課題/領域番号 |
24760234
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高野 浩貴 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (50435426)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 該当なし |
研究概要 |
本研究では,まず,応募者の有する厳密解法に基づく最適化技術を改良し,改良技術を利用することで,これまで十分に検討がなされていなかった配電ネットワーク流通最適化問題の特徴解析の実現を図った。次に,同問題におけるMetaheuristics(代表例としてTabu Search)の探索性能について検証した。その結果,同問題において,①得られた解が局所最適解であっても実用上良好な解である可能性が高い,②ハミング距離は解の類似性を測る指標として一定の役割を果たす,③局所最適解補足後は脱出できる可能性は極めて低い,④局所最適解に補足される前後では現在解更新時にループ形状が変化しない可能性が高い,という4つの特徴が存在する可能性を確認することができた。さらに,この結果を基盤とした新しい配電ネットワーク形状制御技術を開発し,実規模配電ネットワークモデル上の数値シミュレーションにより有効性を確認することができた。 上記に加え,既存の配電ネットワークの潜在能力を最大限引き出す電力流通制御が,電力分野で懸念される太陽光発電システム大量導入時の信頼性低下,電圧逸脱,太陽光発電出力抑制といった諸問題に効果を発揮することを確認し,現在も引き続き検討を行っている。 これらの成果をまとめ,第22回インテリジェント・システム・シンポジウム(沖縄),平成25年電気学会全国大会(名古屋)にて発表し,高い評価を受けた。また,Journal of International Council on Electrical Engineering(Vol.3, No.1, pp.61-67, 2013-03)にも研究成果の一部が公開されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,これまで十分な検討がなされていなかった配電ネットワーク形状決定問題の特徴の把握,メタヒューリスティクスに基づく手法の探索性能把握,という二点を中心に実施することとしていた。具体的には,1-1.列挙法に基づく最適化技術の改良(応募者の有する完全列挙法に基づく最適化技術を,取り扱う問題の特徴解析,メタヒューリスティクスにより獲得した形状の評価等に対応した技術へと改良する),1-2.配電ネットワーク運用形状制御問題の特徴解析(1-1で改良した技術を適用可能な配電ネットワークモデルに適用し,大域的最適解,制約充足形状数,目的関数上位形状の構造等について解析する),1-3.配電ネットワーク運用形状制御問題におけるメタヒューリスティクス手法の探索性能評価(1-2で解析したモデルに,対象とする問題の解法として用いられることの多いメタヒューリスティクス手法を適用し,探索過程において評価した形状,獲得した形状ならびにその近傍形状の最適性を評価して,対象問題に有効な探索戦略を抽出する)という形で研究を実施した。実績の概要でも示した通り,これらの成果は既に一定の評価を受けている。 上記に加え,平成25年度に実施予定であった,2-1.形状最適化アルゴリズムの構築(各種最適化手法の探索戦略を組み合わせて,取り扱う問題に対して有効な新しい最適化アルゴリズムを構築する),2-2.再生可能エネルギー調和型配電ネットワークの実現に向けた形状最適制御技術の開発(再生可能エネルギーの出力変動等により想定される課題を対象とする問題に組み込む)にも着手しており,研究の目的はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,平成24年度に得られた結果を元にして,新しい配電ネットワーク形状決定問題の解法を提案することを目指す。平成24年度の段階で一部着手したものも含まれるが,達成すべき項目は同じであり,2-1.有効な探索戦略を組み合わせた最適化アルゴリズムの構築,2-2.再生可能エネルギー電源を組み込んだ形状制御手法の開発,2-3.計算機シミュレーションによる検証という3項目を実施する。 以下に,これら3項目の詳細について示す。 2-1.形状最適化アルゴリズムの構築(平成24年度の成果を元に,各種最適化手法の探索戦略を組み合わせて,取り扱う問題に対して有効な新しい最適化アルゴリズムを構築する),2-2.再生可能エネルギー調和型配電ネットワークの実現に向けた形状最適制御技術の開発(再生可能エネルギーの出力変動等により想定される課題を対象とする問題に組み込み,再生可能エネルギー調和型配電ネットワークの実現に向けた形状最適制御技術を開発する),2-3.計算機シミュレーションによる開発手技術の検証(開発技術検証用の配電ネットワークモデルを構築し,開発した技術による計算機シミュレーションを実施して有効性を検証する),という形で研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費:300千円(申請書記載額),消耗品費84千円(申請書記載額+9千円※),旅費:753千円(申請書記載額),その他:356千円(申請書記載額)として計画している。なお,※9千円は,3月後半の学会参加の関係で,消耗品等の購入を見合わせたために生じた余剰分であり,この余剰分を平成25年度に利用する。
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