研究実績の概要 |
高度先進ガン治療装置のための湾曲型超伝導マグネットには、超伝導素線をコイル巻枠に直接接着する『Surface winding 法』を用いて製作した超伝導コイルを使用する。超伝導コイルの設計には、設計要求を満足するように、直径1mm程度のNbTi超伝導線を、巻枠上の最適な位置に配置しなければならない。そこで、本研究では、最適な湾曲型3次元コイル形状を実現する設計コードを独自に開発した。更に、本設計コードを用いて、湾曲型コイルの概念設計を進めてきた。H26年度(最終年度)では、湾曲型コイルの概念設計を進める過程で浮かび上がった課題である『コイル形状の湾曲化に伴うコイル性能への影響』について研究を行った。本研究を実施する際、コイル形状サンプルとして、偏向角が一定で、偏向半径が異なる3つの形状を設計した。各コイル形状の主要パラメーターは下記の通りである。偏向角:22.5度、偏向半径: 2.8m, 3.8m, 4.8m、コイル断面半径: 145mm、ターン数::150、層数:1、素線径:1mm、参考半径:99mm。 上記の3つのコイル形状について、同一電流値におけるコイル中心磁場、及び最大経験磁場を求めた。その結果、偏向半径が大きくなるについて、中心磁場が増加し、経験磁場が減少する傾向にあることが分かった。また、同一電流値でのコイルに生じる電磁力分布を求めた。その結果、湾曲型コイルの中心軸に対して、内周面側に電磁力が生じた。つまり、中心軸に対して、左右非対称な電磁力が生じることが分かった。 上記の研究結果を踏まえて、今後取り組むべき重要な課題は、中心軸に対して左右非対称に生じる電磁力の支持方法の検討であると考えられる。
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