研究課題/領域番号 |
24760248
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 哲也 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (00359556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 薄膜トランジスタ / IGZO / マグネトロンスパッタ / キセノン |
研究概要 |
液晶薄型テレビのみならずフレキシブルディスプレイ等への適用が期待される酸化物半導体アモルファスIn-Ga-Zn-O(a-IGZO)薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を、申請者が考案した回転マグネットスパッタ技術(動くプラズマループにより時間平均で均一な成膜及びプラズマ照射を実現)を用いて作成した。成膜時に成膜表面に照射される希ガスイオン等のプラズマパラメータ分布とa-IGZO薄膜特性・TFT特性を明らかにするとともに、大型ガラス基板に高性能TFTを均一に実現するためのTFT製作技術を確立することを目的としている。回転マグネットスパッタ装置においては、大型基板成膜への展開可能な矩形ターゲットを二つ並べたACスパッタ法を採用した。本年度は、a-IGZO TFTの電気特性について、基板面内の均一性の評価と、成膜時に照射されるイオン種を通常用いられているアルゴンからキセノンに変えた評価を行った。面内分布に関しては、TFTの閾値電圧およびキャリア移動度の分布、特にターゲット直下とターゲット間との差異が、ターゲット-基板距離を7cm以上離せば均一になることを示し、大型基板均一成膜への指針を与えた。また、イオン種の違いに関しては、キセノンを用いることでTFTの電界効果移動度が30%近く向上することを初めて見いだした。また、ホール測定により求めたホール移動度も同様な傾向を示した。キセノンイオンのイオン照射エネルギーはアルゴンイオンよりも低くなり、またキセノンイオンの原子半径はアルゴンイオンに比べて大きい。TFT特性の向上は、キセノンを用いることで成膜時における膜中へのイオンの進入度合いを低減させ、膜へのダメージが低減されたことによると示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キセノンスパッタを用いたIGZO薄膜トランジスタの性能向上を初めて示すことができ、さらにアモルファスIGZO薄膜TFTの大型基板への均一製作技術への指針を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
既にIGZO薄膜トランジスタは実用化されているが、製作時のプロセス温度の低温化や、閾値電圧シフトの低減などの更なる性能向上が望まれている。これらは、スパッタ成膜条件に大きく依存する。本研究課題においては、今後均一成膜技術のみならず、これらの点についても検討を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
IGZO薄膜トランジスタ作成に必要なガス、レジスト材料、フォトマスク等を購入する予定である。
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