研究課題/領域番号 |
24760258
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田中 徹 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20325591)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マルチバンドギャップ / 中間バンド型太陽電池 / ZnTeO |
研究概要 |
本研究では、次世代の超高効率・低コスト太陽電池として期待される中間バンド型太陽電池の実現を目指し、単一層でマルチバンドを実現できる高不整合材料によるマルチバンドギャップ半導体ZnTeOを取り上げ、高品質な同半導体薄膜の成長と、本材料系での中間バンド型太陽電池の原理実証、ならびに中間バンドを介した光吸収特性の向上を目的としている。ZnTe1-xOx薄膜をZnTe(100)基板上に成長した場合、OとTeの共有結合半径の大きな差により、わずか2%程度のO添加量でも格子不整合率が0.5%を超えることから高品質なエピタキシャル膜を得ることが困難になる。平成24年度は、格子不整合を緩和し、高品質な結晶を得るため、ZnTe1-xOxに共有結合半径の大きなCdを添加したZn1-xCdxTe1-yOyによる格子整合系でのエピタキシャル成長の実現を目指し、(1)MBEによるZn1-xCdxTe1-yOy膜成長特性の把握、(2)Zn1-xCdxTe1-yOy薄膜の光学遷移エネルギーの評価を行った。以下に主な成果を要約する。(1)ラジカルソースMBEによるZn1-xCdxTe1-yOy成長の前段階として、ZnCdTeのMBE成長におけるCdフラックス供給量と薄膜中のCd濃度の関係を明らかにした。引き続き、酸素ラジカルを供給することで、Zn1-xCdxTe1-yOy成長を行った。高分解能X線回折、電子プローブ微小分析(EPMA)によりベガード則を仮定して、組成の決定を行うと共に、格子整合する組成比を有するZn1-xCdxTe1-yOy薄膜を得た。(2) フォトレフレクタンス法によりZn1-xCdxTe1-yOy薄膜の光学遷移エネルギーの評価を行うことで、同薄膜における価電子帯からE-およびE+バンドへの遷移エネルギーを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、平成24年度は、ラジカルソースMBEによりZnTe基板に格子整合するZn1-xCdxTe1-yOy成長を実現し、光学特性を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り、平成25年度は、(1)ZnCdTeOへのAlドーピング、(2) AlドープされたZnCdTeOの光学遷移特性の評価、(3)中間バンド型太陽電池構造の試作による原理実証とドーピング効果の検証を実施する。Alドーピングで良い結果が得られない場合は、他のドーパントを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主として、薄膜成長用の原材料、基板、冷媒、ガス、薬品などの費用として使用する。
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