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2012 年度 実施状況報告書

機能性色素を添加した液晶中での空間光ソリトンの形成と制御

研究課題

研究課題/領域番号 24760265
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

佐々木 友之  長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (90553090)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード空間光ソリトン / 液晶 / 色素 / 非線形光学効果
研究概要

本研究の目的は、機能性色素を添加することで特定の波長領域における非線形屈折率を増大させた低分子ネマチック液晶において、低強度なレーザー光により空間光ソリトンを形成することにある。また、光インターコネクト技術の普及に必須となる、低消費電力かつ高機能な光スイッチ、偏向素子への応用を目指し、電圧の印加や、別途光照射を行うことなどによって、外場によるソリトンの制御を行うことも目指している。平成24年度は、色素ドープネマチック液晶中においてソリトンを実験的に観測するとともに、その形成メカニズムを明らかにすべく、検討を行った。
平成24年度は、DR9と呼ばれるアントラキノン系の色素と低分子ネマチック液晶5CBを調合することで得た色素ドープネマチック液晶中において、光伝搬が光の強度や偏光状態に依存することを実験的に実証した。光源には波長633 nmのHe-Neレーザーを用い、このレーザー光を、色素ドープネマチック液晶を用いて作製した平行平板型セルの液晶層に対物レンズを介して結合させ、セル外部に漏れ出る散乱光を顕微鏡により観察することで光伝搬特性を観察した。結果として、色素を添加しない5CBで作製したセルに対しては、入射光強度を変えても伝搬の様子に顕著な変化は見られなかったが、色素ドープ液晶セルに対しては、非線形な光伝搬が観察された。また、その非線形伝搬の様子は偏光状態に依存することも確認し、入射光の強度と偏光を制御することで、ソリトン波のように広がりが抑制される場合のあることも実証した。温度制御下での伝搬特性を観察した結果、今回確認された非線形性は、色素の光吸収により光伝搬に沿って温度変化が生じることで屈折率の空間分布が形成されたことによるものだと推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画していたように、色素ドープネマチック液晶中での非線形な光伝搬を観測でき、また、非線形性の起源に関する知見も得られたことから、ある程度は研究を進めることができたと考えている。しかしながら、観測のための実験系構築に想定していたよりも時間を要し、当初計画していたように、複数の色素材料について検討を行うことができず、色素ドープ液晶の有する多様な光応答性を示すまでには至らなかった。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、第一に、前年度行えなかったアゾ系の色素を用いての実験的検討を進める。アゾ色素は、上述のアントラキノン系色素DR9とは異なり、光照射によって異性化反応を生じるため、配向の変化に基づくソリトンが形成されるものと考えている。熱的な効果による屈折率変化と、配向状態の変化とが複合することで、より低強度でソリトンが得られることも期待できる。
その後、研究計画調書にも示したように、実験結果に基づいて屈折率変化及び配向変化の度合いと、光の強度及び偏光状態の関係を定式化し、非線形性を考慮した上で異方性媒質中での光伝搬を数値電磁解析手法により計算することを試みる。また、この計算によりソリトンの最適な形成条件について検討を行い、実験による観察へとフィードバックする。
また、ネマチック液晶中におけるソリトンの応用に関する検討も進める。ネマチック液晶は一軸異方性媒質であるため、等方性媒質との界面において複屈折を生じる場合があり、垂直入射に対しても波動ベクトルとポインティングベクトルの方向が異なり得る。即ち、液晶分子の配向方向によってエネルギーの伝搬方向を制御できる可能性があるといえる。外部電圧の印加や、別途の光照射などによって、ソリトンの伝搬がどのように変化するかを検証し、外場制御可能な高効率光スイッチなどへの応用を提案する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の未使用額22,092円は、平成25年度の配分額と合わせ、光学素子などの備品購入に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 色素ドープネマチック液晶中における空間光ソリトンの観察

    • 著者名/発表者名
      佐々木友之、小野浩司、三浦健太、花泉修、川月喜弘
    • 学会等名
      日本液晶学会討論会
    • 発表場所
      千葉大学

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公開日: 2014-07-24  

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