研究課題/領域番号 |
24760268
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
千葉 明人 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30435789)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 遅延干渉計 / 偏波多重 / 位相変調 / 復調 |
研究概要 |
今年度は、提案する遅延干渉計に関する基礎的検討を進めた。まず、偏光ビームスプリッタ(PBS)や偏光コントローラをはじめとする各種光学素子を用いた光学系をテストベッドとして構築し、パワーダイアグラムを実験的に評価した。提案する遅延干渉計は、偏光ビームスプリッタおよび(1/4)波長板等による偏光方向の回転を利用するもので、入射光のうちいずれの偏光方向に対しても偏光ビームスプリッタから出射した光の伝搬方向はλ/4板の通過前後で同じ方向となる構成を取る。まず光の周回方向がその偏光に依存するループ系に関して、閉ループの周回に伴い生じる光損失について実験的に評価し、1.7dB程度という評価結果を得た。この過程でPBSに対する光の偏光方向保持が光学系の構築にあたって必須となったため、それを簡便に実現する機構の試作も行った。その結果、挿入損失が十分に小さい試作品を得る事ができ、半波長板により所望の動作を得る従来手法に対して機構の簡略化・小型化を実現できた。続いて、提案する光学系と概ね類似する系に対して、遅延干渉信号出力を得る位置における挿入損失の評価を進めた。また偏光クロストークに関しても、概ねPBSにより律束される程度であり偏光分離後の光信号に与える影響が十分低い事を実験的に確認した。更に上述の発展として、光干渉計の応用の一つである干渉型光スイッチのクロストークを高周波信号に対して推定する手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価用光信号を生成する実験系の構築までには至っていないものの、遅延干渉計の構成要素準備や評価等の要素技術の立上げは概ね順調に進んでおり、装置系の構築が出来次第、提案する系の動作の実証は可能であると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
光学系の各要素の洗練および特性評価を継続して系の最適化を図るとともに、偏光が回転した光信号を遅延検出する系の構築も進め、各偏光の光の位相差に対応した信号を検出可能とする準備を進める。また、提案する系により復調を行う試験信号の生成方法の検討も進める。通信システムにおいて一般的な差動四値位相変調(DQPSK)信号に限らず、動作の実証に繋がる様々な光変調方式による試験も視野に入れながら生成方法の検討を進める。これらの基盤技術の統合により偏波多重分離や遅延検波の動作の定量的評価も試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、生成した光信号を制御するための消耗品として、光の偏光を制御するコントローラやアッテネータ、偏光子、光増幅器等の調達を予定している。また成果発表に係る経費にも充てる予定である。
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