光クロスコネクト技術に有用な超低消費電力の導波路型磁気光学スイッチを目指し、研究を行った。最終目標である自己保持機能を有する磁気光学スイッチの動作実証までは至らなかったが、中期目標としての磁気光学ガーネット上での光スイッチの製作と評価では目標性能以上の応答速度を達成し、その後、自己保持動作に必要な磁気記録材料の形成について検討を行った。 光スイッチの動作特性として、応答速度の目標性能として1マイクロ秒程度を掲げていたが、製作した光スイッチでは、25ナノ秒以下の高速な応答が計測された。これは、自己保持動作化した場合の制御パルスの印加時間の短縮につながり、消費電力の削減効果につながる。 磁気記録材料の形成においては、所望の方向に磁化容易軸を配向するためには何らかの工夫が必要であることが判明した。そこで、対向ターゲット式スパッタ法による成長磁気異方性と、縦横非対称パターンによる形状異方性を利用することを試みた。磁化させたい方向に長軸を持つ長方形を並べる手法を提案し、磁気記録材料の成膜と評価を行った。これは現在も実施中であり、微小なパターンで大きな残留磁化を示す形状、成膜条件の探索を行っている。 最後に、提案特許について報告する。従来、磁気光学スイッチの動作偏波は縦偏波のみを想定していたが、今回横方向に非対称性を有し縦偏波と横偏波の両方で磁気光学効果が利用できる光導波路とその製作方法について特許出願を行った。
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