研究課題/領域番号 |
24760273
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
曽根原 誠 信州大学, 工学部, 助教 (30456496)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | センシング / 磁性材料 |
研究概要 |
(1) 巨大磁気Kerr効果をもつ磁性膜の開発 光プローブ電流センサを実現するために巨大磁気Kerr効果を有する材料の開発は重要であるが、電気自動車やハイブリッド自動車用の電流センサとして利用するためには、共同研究先からの要請で200℃まで磁気Kerr効果や磁気異方性など磁気特性が劣化せず、500 Aまでの電流を測定可能で16 kA/mの電流磁界を印加しても磁気飽和し難い磁性膜の開発が実施期間中に新たに提案された。この提案に対し、温度特性に優れるアルニコ磁石材料に注目して研究を進めてきたが、目標値とした0.2 deg以上の磁気Kerr効果を持たず、また大きな誘導磁気異方性を付与させることができず大電流計測用電流センサとして困難であることが分かった。そこで、高温でも磁気異方性に影響しない磁性材料を長さ1 mm、厚さ100 nm、幅30 μmと細長い短冊状に加工して得る事ができる形状磁気異方性に着目し、研究を進めた結果、温度と最大電流測定に対する要件を概ね満足することが明らかになった。なお磁性材料としては、既に実績のあるFe-Siを用いた。 (2) S/N比向上のための新検出方式の基礎実験 外乱ノイズの影響を更に低減させるための新センサ方式を実施期間中に提案し、1件の特許出願をした。具体的には被測定電流線路(以下、バスバー)の両側に磁性膜を配置し、被測定電流は和動、バスバーに対し遠方からの磁界ノイズは差動になるように光路を設定し、S/N比を向上させるものであり、充分な結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電気自動車やハイブリッド自動車用の電流センサとして利用する光プローブ電流センサの実現のためには、磁気Kerr効果および磁気異方性など磁気特性が200℃の高温状態においても保持されるなど多くの要件があり、それらを全て満足する材料開発が遅れたためである。 またモジュール試作先が当初予定していたプレサイスゲージ株式会社では、実現可能性が議論をしていく中で明らかになり、助言者の浅沼和志氏からも情報を得て、新たな試作外注先として株式会社オプトクエストに依頼することになり、最初から協議をし直したため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き共同研究先と連携し、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)用の光プローブ電流センサを開発する。EVやHEV用の電流センサに特化するため、測定要件となっているインバータ内のバスバーにおける相電流測定を目指し、センサモジュールの実車搭載模擬実験を同社の協力を得て進める。なおセンサモジュールの試作は、平成24年度内で変更になった(株)オプトクエストに外注依頼をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、材料開発を主に実施したが、光プローブ電流センサの実用化を目指すために当初計画と変更した点が多々あり、研究費を予定通り使用することができなかったが、平成25年度は、センサモジュールの試作を予定しており、当初計画と概ね一致すると考えられる。
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