研究課題
本年度は、前年度の結果を踏まえ、提案回路の集積回路を設計し、その周波数特性および電流特性を測定した。設計回路は、暗号回路の基礎構造であるS-boxである。このS-boxを設計するに当たり、回路構造に工夫を施した。具体的には回路を3構造とし、それそれを別位相をもつ電源で駆動することで、電流変動が少なくなるようにした。この集積回路を測定した結果、集積回路は125kHzで動作し、電流変動は極めて少ないことが分かった。[研究期間全体の概要]極低消費電力特性かつ高セキュリティ特性を有する論理回路の集積回路設計を目的とし、本研究では、ワイヤレス給電向け集積回路に断熱的論理回路を使用することを想定し、次のことについて明らかにした。(1) 提案した断熱的論理回路は、回路構造が比較的安易であるにも関わらず、電流変動が少ないものであった。従来回路と比較し、シミュレーションでは1/2以下の電流変動であることが分かった。(2) 提案回路を用いて暗号に必要な基本構造を集積回路実現した。具体的には、GF(2m)乗算器とSboxである。実現した集積回路を計測したところ、回路はワイヤレス給電向けの集積回路に適した速度で動作し、消費電力は従来回路と比較して1/4以下であることが分かった。また、電流変動も従来回路よりも少ないことを推測できた。これらの結果から、提案回路は、高セキュリティ特性を有することが分かった。今後は、これら結果を踏まえ、スマートカードなどで使用されている暗号回路を集積回路実現し、その電流変動、電磁界放射特性などを計測し、より高セキュリティ特性を有する回路実現を目指す。
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IET Circuits, Devices & Systems
巻: 9 ページ: 掲載確定