排出制御変調素子による時間分解型イメージセンサを用いた、真空管を不要な固体撮像素子による新たなストリークカメラについて検討した。排出制御変調素子では埋め込みフォトダイオード内のフリンジング電界と排出ゲートの横方向電界により高速変調可能な画素を実現できる。 本研究では、この排出制御変調素子の素子サイズを2.8umまで小さくし、更なる高速化を図った。実際の製造パラメータに基づく3次元デバイスシミュレーションによって、80ピコ秒以下の高速な光電流応答が得られることが明らかとなった。さらに、ストリーク撮像を行うためには極短パルスの生成、走査回路および画素部への供給が必須となる。本研究では遅延回路に基づく走査回路と画素内ロジック回路での短パルス生成回路を提案・検討した。実際のイメージセンサのレイアウトを行い、詳細なモデルを構築し回路シミュレーションを行い、提案する回路によって250ピコ秒以下の極短パルス波形を画素アレイに供給可能であることを回路シミュレーションによって確認した。したがって、ストリークカメラとして250ピコ秒程度の分解能が得られる見通しを得た。 これらのシミュレーション結果に基づき、0.11umプロセスで30×128(記録長)画素のストリークカメラ用CMOSイメージセンサの設計・試作を行うとともに、本デバイスを評価基板製作、基礎評価システムおよび提案するストリークカメラの光学系を構築した。本評価系を用いて、デバイスの基本動作の確認まで完了している。今後は試作したイメージセンサへの応用評価とストリーク撮像系への実装と更なる高性能化を目指す。
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