研究概要 |
本研究では抵抗変化メモリのフィラメントを用いて、リコンフィギャラブルかつ不揮発であるナノスケール配線手法を研究した。 まず、電極として、Pt/Auを用い、フォトリソグラフィーと斜め蒸着により、電極を作成し、その上部に、ReRAM材料である酸化アルミニウム(AlxO1-x)を厚み10 nm成膜した。電極間の幅が約20μmのマクロギャップ素子と、約40nmのナノギャップ素子の2つのタイプ、量子ドットの有無を含め4タイプの素子を作製した。これらの素子を多数作成し、電流電圧特性を詳細に測定した。量子ドットを含まないマクロギャップ素子において、1V程度において高抵抗状態から低抵抗状態(SET)へ、逆の低抵抗状態から高抵抗状態(RESET)の急峻で良好なスイッチングを測定した。両動作は同一極性で生じ、ユニポーラ動作であることがわかった。一方、ナノギャップ素子においては2~3V付近でSET,逆極性の-2~3V付近でRESET動作するバイポーラ動作を確認できた。このような電極間隔に依存する極性動作はこれまでに報告がなく、本研究で明らかになった新しい知見である。伝導フィラメントを形成する酸素空孔の荷電状態が電極からのキャリア注入により変化するというモデルにより本新知見を説明する事ができた。不揮発なスイッチ現象であり、リコンフィギャラブルかつ不揮発なナノスケール配線として有望なことがわかった。一方、自己形成量子ドットを埋め込んだ素子においては、SETやRESETらしき現象が複数観測され、予想外に電流―電圧特性が不安定であった。おそらく量子ドットの存在により、周りの環境に敏感なフィラメントが多数発生したためではないかと考えている。この改善のために、新たに、Ge-TeとAg電極をもちいた系について研究を着手し、明瞭かつ、より安定なフィラメントの観測に成功した。
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