研究課題/領域番号 |
24760285
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
廖 梅勇 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (70528950)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | マイクロマシン / ダイヤモンド |
研究概要 |
近年、次世代無線端末の開発に向け、無線LANや携帯電話を代表とする無線通信分野では、高信頼性、長寿命、超高速、省エネルギー、高出力、低電圧、高周波数スイッチが求められている。このような無線通信を実現する方法として、RF-ナノマシン(radio-frequency nanoelectro-mechanical system RF-NEMS) 技術は、将来のキーテクノロジーに位置付けられる。既存のスイッチングデバイスは信頼性が悪く、高速化・高出力化が難しいという問題がある。 “超物質”と言われたダイヤモンドは優れた機械的・熱的・化学的安定性を持ち、高周波数領域で高信頼性、高速、かつ大電力的なRF-NEMS スイッチを実現することが期待できる。 平成24年度では、単結晶ダイヤモンドのナノ可動構造体カンチレバーおよびブリッジの作製に成功するとともに、全単結晶ダイヤモンドのナノマシンスイッチの開発に世界で初めて成功した。開発されたダイヤモンドカンチレバの高周波振動性(>MHz)、高品質因子(~10000)を実証した。そのうえ、表面固着がほとんど観測されず、高い再現性および高い信頼性ナノマシンスイッチを実現した
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ダイヤモンドMEMS/NEMSにとって、微細加工技術とデバイスコンセプトのイノベーションは最も基本的な課題であり。従来技術では、シリコン等の半導体基板上にパターニングされた酸化物薄膜(例えばSiO2)を犠牲層として堆積させ、その犠牲層上に多結晶ダイヤモンドあるいはダイヤモンド状カーボンを選択成長させた後、犠牲層をエッチング除去することによって、可動構造体を作製している。多結晶ダイヤモンドを用いたMEMSデバイスは、機械性能、安定性及び再現性は不十分である。さらに、作製プロセスは高温環境を必要とし複雑である。従って、高信頼性・高性能なMEMS/NEMSを実現するために、「単結晶」ダイヤモンド可動構造体の新しい作製技術を開発し、新しいデバイスコンセプトを創作することが重要である。 本年度は、単結晶ダイヤモンド可動構造体の最も基本作製技術を開発した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、NEMS可動構造体を製作し、ベクトルアナライザを立ち上げ、ロックイン技術とともに、共振周波数測定して、機械特性も議論する。さらに、最適なRF-M/NEMSスイッチデバイスのために、ケースレー半導体計測器を利用して、ダイヤモンドカンチレバーの電気性能を調べる。 さらに、ダイヤモンドに対応する簡単な横電界開閉操作方式のRF-MEMSスイッチデバイスの設計と試作を行い、最適なデバイス構造を確立する。開閉操作の有効性を達成するために、以実験とデバイスの動作原理により調べる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
高品質ダイヤモンド基板の購入
|