研究課題/領域番号 |
24760286
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
越田 俊介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70431533)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 情報通信工学 / 制御工学 / 適応信号処理 / 狭帯域信号検出 / 可変ディジタルフィルタ / 適応ノッチフィルタ |
研究概要 |
平成24年度では,本研究者がこれまでに提案している「任意の可変ディジタルフィルタの適応制御による高品質な狭帯域信号処理」に関して,本手法の高品質性および高信頼性を理論的に証明することを主な目的として研究を進めた.さらに本研究では,付加的な成果として,狭帯域信号処理を従来よりも高速に実現する新しいアルゴリズムも開発した.具体的な研究成果は下記の通りである. 1. [高品質性の証明] システムの品質について,本研究では提案するシステムの出力信号のS/N比に着目し,このS/N比が従来のシステム(適応ノッチフィルタ)によって得られる信号のS/N比よりも必ず大きくなることを理論的に証明することに成功した.具体的には,従来のシステムにて用いられる低次の可変フィルタと提案法による高次の可変フィルタそれぞれの帯域幅が等しいという設定のもとでそれぞれの出力信号のS/N比の式を導出し,この式を用いて,提案手法による信号のS/N比が従来手法による信号のS/N比よりも必ず大きくなることを証明した. 2. [高信頼性の証明] 狭帯域信号検出のための適応アルゴリズムが,提案するシステムにおいて必ず最適解に収束することを理論的に証明した.証明のために,システムの伝達関数の因数分解に基づく縦続形構造を利用し,この構造の1次セクションに対する最適性を議論することで証明を達成した. 3. [狭帯域信号処理の高速化(付加的な成果)] 狭帯域信号検出のための適応アルゴリズムについて,本研究では,従来法の中でも高速なアルゴリズムとして知られているラティス構造に基づく手法に着目し,この手法よりもさらに高速に動作する手法を新たに開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度では,上述の通り提案手法の高品質性と高信頼性を理論的に示すことを課題としていたが,それらが達成されただけでなく,付加的な成果としてアルゴリズムの高速化も達成することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,提案手法を信号処理専用のプロセッサへ実装し,通信や音声・音響などさまざまな信号処理アプリケーションへ応用することを考える.この目的を達成するために,まず平成25年度では,プロセッサの実装に関して考慮すべき量子化の問題を提案手法にて議論する.そして,量子化による特性劣化を低減する高精度な狭帯域信号処理システムを実現するための統一的な方法論を与えることを課題とする.この課題に対する成果を用いて,平成26年度では提案手法による狭帯域信号処理システムを専用プロセッサへ実装し,さまざまな信号処理アプリケーションへ応用して,提案手法の有用性を実証する. また,平成24年度にて得られた成果を学術論文へ投稿し,およびシンポジウムでも発表することで,研究成果を広く公表していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究では当初の課題を達成できており,今年度の研究費は効率的に執行している.よって次年度使用額は,今年度の研究を効率的に執行したことにより発生した未使用額であり,平成25年度請求額とあわせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である.
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