研究課題/領域番号 |
24760287
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀田 卓 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10343039)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 移動通信システム / SC/MCハイブリッド / 広帯域 |
研究概要 |
次世代広帯域移動通信システムの広域化・高スループット化のために,申請者はこれまでに,広域化に適したシングルキャリア(SC)と,高スループット化に適したマルチキャリア(MC)を組み合わせた SC/MC ハイブリッド無線通信方式を提案している.本研究では,この概念を発展させ,広域化・高スループット化を目指し,適応切り替え型のマルチアンテナシステムの提案を行う.また,SC/MC ハイブリッドシステムをマルチセル環境へ適用することを検討し,マルチセル環境下においても SC と MC をハイブリッド化させることによって,高速かつ広カバレッジな上り回線アクセス方式として適用可能であることを示す.さらに,SC・MC チャネル最適配置を可能とする周波数マッピング・スケジューリング手法の検討を行う.最終的には,提案方式のハードウェア実装・評価による実験的検証を行い,有効性・実用性を明らかにする.本年度は特にマルチセル環境への適用についての検討を行った.SC/MC ハイブリッドシステムにマルチセル環境を適用し,干渉局端末が異なる伝送方式を用いるために生じるセル間干渉による劣化の違いや,マルチセル環境下においても SC/MC ハイブリッドシステムの目的となる基地局近傍での高スループット・セル端でのスループット補償が確保できるのかについて評価を行った.マルチセル環境において,計算機シミュレーションを用いて,スループット特性評価・スループット累積分布特性評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の当初計画においては,マルチセル環境への適用と適応切り替え型マルチアンテナシステムの検討を挙げていた.前者については,ほぼ予定通りの進捗であり,後者については,もともと H25 年度への継続検討であり,予定よりも若干遅れているものの,H25 年度の研究開発計画に対しては問題なく進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
進捗が少々遅れている適応切り替え型マルチアンテナシステムについては,ハードウェア実装システムを用いた実測の研究に注力することで研究開発を加速させる.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の研究開発を受けて,本年度は以下の課題について取り組む. (1) 最適スケジューリングに必要となる評価関数の導出: 最適スケジューリングのためには,適切なチャネル評価が可能な評価関数の明確化が重要である.受信側(基地局)で計測されたアップリンク信号のサブキャリア毎の受信信号強度やその単位時間当たりの変動量,キャリア周波数偏差による直交性劣化に伴うアップリンク信号間干渉などを元にして,端末ごとの最適チャネルを選択するために必要となる評価関数を導出する. (2) FPGA への実装のための基礎検討 (量子化誤差の評価): SC/MC ハイブリッドシステムの送受信器構成を FPGA に実装するための課題抽出を行う.特に,ハードウェア実装で問題となる量子化誤差が提案方式に与える影響について検討を行い,ディジタル回路内で必要となるビット数やその回路規模を評価する. (3) 周波数マッピング・スケジューリングの設計・評価: SC が選択されたチャネルの場合,そのチャネルに対しては連続したサブキャリアを選択する必要があるなど,SC/MC ハイブリッド特有の周波数マッピング・スケジューリングが必要になる.また,スケジューリング情報のやりとりに必要となるオーバヘッドの最小化も,システム全体のスループット向上には大きな課題となる.このように,提案方式に最適化された周波数マッピング・ スケジューリング手法についての検討を,理論解析と計算機シミュレーションを用いて行う.
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