研究課題/領域番号 |
24760288
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 雄一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10547029)
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キーワード | 画像符号化 / 画像処理 / コンテンツ考慮型拡縮 / wavelet |
研究概要 |
平成25年度においては,コンテンツ考慮型拡縮(content-aware resizing: CAR) を更に広範囲の画像処理へと応用するための理論とアルゴリズムに関して検討を行った.具体的には,画像の多重解像度表現手法のなかで広く用いられている,ラプラシアンピラミッド (Laplacian pyramid: LP) における,低域通過フィルタとダウンサンプリング処理をCARで置換した,retargeting pyramid (RP) を提案した.RPはLPと異なり,画像を均一に縮小するのではなく,CARを用いて画像中の重要な部分は拡張し,重要でない部分は大きく縮小される.その結果,RPを利用したピラミッド表現では,上位の階層(LPにおける低周波数成分)の画像においても,重要な部分のサイズと形状が保存される. 提案手法の性能の確認のため,方向性変換である contourlet transform (LPと方向性フィルタバンクを利用した2次元信号変換手法) へRPを統合し,画像ノイズ除去シミュレーションを行った.結果として,ピーク信号対雑音比 (PSNR) において大幅な性能向上を果たした.また,RPの性能を更に向上するため,現在RPで用いているCARの改良に現在取り組んでおり,バイラテラルフィルタとTikhonov正則化を組み合わせることにより,ノイズ除去性能が従来RPと比較してPSNRで1dB以上向上するという知見を得ている.本手法はIEEE信号処理ソサイエティのフラッグシップ会議である,ICASSPで発表予定である.また,動画像符号化においてもCAR符号化を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,CARと分散動画像符号化を利用した動画像符号化システムについて実現した.本提案手法はIIEEJ Transactions on Image Electronics and Visual Computingへと採録が決定している.また,【研究実績の概要】で述べたように,CARの他の画像処理への応用に関しても様々な知見を得ているため,順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては,RPの更なる性能向上と共に,グラフ信号処理理論の画像処理への応用に対しても考察していく.CARによる画像変形のためには,頂点位置(画素位置)を所望の評価関数に対して最適化する処理が必要となる.一方,グラフ信号処理において,ある種の最適化はグラフスペクトル領域における低域通過フィルタとして実現できることが示されている [Gadde et al., ICIP 2014].今年度は,RPを含めた画像処理に対するグラフ信号処理からのアプローチへ取り組んでいく.
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