研究課題
初年度である今年度は,課題遂行に向けて,「1.シミュレーションによるメタマテリアル設計技術の開発」,「2.メタマテリアルを実現する構造の開発およびメタマテリアルの薄型化に関する基礎検討」の2点の研究を行った.1.については,メタマテリアルは誘電体を含む構造であり,それらは周期構造で構成されるため,誘電体等を容易に扱え,周期構造の解析が高精度にできる解析手法の開発を行った.シミュレーション手法はFDTD法を基本とし,周期境界を組み込んだ.厳密界と比較することによりその有効性を確認した.さらに,本研究課題では斜め入射にも有効な構造の開発を行うが,それにも対応できるシミュレーション手法を開発しその有効性を確認した.2.については,開発したシミュレーション手法を用いて薄型を実現する構造の開発を行った.提案した構造はこれまでのように,負の透磁率を実現する部分と,負の誘電率を実現する部分に分かれておらず,一つの構造でそれらを実現する構造となっている.この構造は,負の透磁率を実現する金属ループとその近傍に電磁結合させる形で,負の誘電率を実現する構造を配置した.これによりこれまでの構造と比べて少ない大きさでメタマテリアルを実現する構造を構成することができた.今後はこの構造をもとに更なる薄型化を図る予定である.一部の条件においては実験も実施した.実験はネットワークアナライザを用いて,構造の反射係数を測定することにより,そこから構造の実効的な誘電率及び透磁率を見積もったが,概ねシミュレーション通りの結果を得ることができ,提案した構造が期待通りの特性を示すことが分かった.
2: おおむね順調に進展している
初年度である今年度は概ね計画通り進んでいる.下記にその根拠を示す.まず,本研究課題のポイントは,シミュレーションを活用した,極薄いメタマテリアル構造の開発である.シミュレーション技術に関しては,計画通り初年度である今年に,FDTD法を用いた高性能のシミュレーション技術を開発することができた.開発した技術は斜め入射に対しても高精度かつ高速に解析できる物であり,計画通りといえる.本研究課題に関連して,簡易なシミュレーション手法の開発も一部行うことができた.次に,実際の構造開発については,初年度の計画通り基礎構造を提案することができた.この構造は画期的であり,今後この構造はこれまでの構造と違い,負の誘電率と負の透磁率を一つの構造で実現する画期的なものであり,この構造ををもとに更なる薄型構造の提案が期待できる.最後に,計画通り一部の実験も行った.実験結果は期待する通りの物であり,提案した構造が有効であることを理論的にも,実験的にも実証することができた.
次年度は,「1.シミュレーションによる薄型構造の開発」,「2.実験による薄型構造の開発と実証」を行う予定である.1.については,今年度はシミュレーション技術がほぼ完成したので,シミュレーションを用いて,より薄いメタマテリアル構造の開発を行う.今年度提案した構造をもとに,シミュレーションを多用し,効率的に構造を開発する予定である.シミュレーションは大型計算機を用いて効率よく行う予定である.さらに,実用上を考えたら作成しやすい構造が良いので,性能を維持しながら作成しやすい構造をシミュレーションを用いて行う予定である.2.については,今年度一部実験を行ったが,十分ではなかったので,来年度はより実験を行い特性の理解および構造の開発を行う予定である.メタマテリアル作成においては,両面銅箔基盤を基に,アンテナ基盤基盤掘削機で加工する予定である.メタマテリアル特性の測定には電界センサと,ベクトルネットワークアナライザを用いる予定である.これらを通して,より特性が良く,極薄いメタマテリアル構造の開発を遂行する.
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10.1587/elex.9.951