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2014 年度 実施状況報告書

凸解析・情報幾何に基づくスパース信号処理とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 24760292
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

湯川 正裕  慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60462743)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードスパース最適化 / Lp準ノルム / OMP法
研究実績の概要

本年度は,スパース適応フィルタへの応用において大きな成果が得られた.その成果の一つについて,概要を述べる.スパース適応フィルタは,ある2つの関数(データ忠実項と正則化項)の和で定義される(時間変化する)コスト関数を減少させる方向に係数を更新することで実現される.具体的には,データ忠実項は「各時刻での観測データに対する瞬時2乗誤差」であり,正則化項は「フィルタ係数の絶対値和(係数ベクトルのL1ノルム)の定数倍(この定数を正則化パラメータと呼ぶ)」である.本研究では,正則化パラメータの設計問題に取り組んだ.第1ステップとして,「未知である最適フィルタを使って定義される平均2乗誤差(利用不可能)」と平均が一致する推定量をSteinの補題から導出した.第2ステップとして,この推定量を各反復で最小化する「統計的に最適な」正則化パラメータを導出することに成功した.第3ステップとして,Matlabを使った計算機シミュレーションで提案アルゴリズムを実装し,その有効性を数値例で実証した.本成果は,信号処理のフラグシップカンファレンスIEEE International Conference on Acoustic, Speech, and Signal Processing (ICASSP) 2014 で発表し,多くの専門家の興味を集めた.本研究成果により,従来,手動で決定していたパラメータを自動的に最適設計することが可能となり,学術的な貢献に加え,実用面でも大きな利点があると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第3年次に実施予定であったスパース適応フィルタへの応用について,既にアルゴリズムの構築に成功し,研究論文として国際会議で既発表である(業績欄をご参照).3編のジャーナル論文を学術雑誌に投稿中である.

今後の研究の推進方策

本年度は,スパース適応フィルタへの応用研究を完成させてジャーナル論文にまとめるとともに,画像処理への応用について,弱凸関数を正則化項に用いたスパース最適化アルゴリズムの開発・応用を検討していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

H26年度に,Lp正則化に基づくスパース最適化アルゴリズムの収束解析と応用を行ない,国際会議で発表する予定であったが,検討を進めた結果,収束を厳密に保証するためには「弱凸性」と呼ばれる性質をもつ関数で正則化するのが望ましいことが分かってきた.これに伴って計画を変更し,弱凸関数を正則化項に用いたスパース最適化アルゴリズムの開発と応用を行なうこととしたため,未使用額が生じた.

次年度使用額の使用計画

H27年度は,弱凸関数を正則化項に用いたスパース最適化アルゴリズムの開発・応用と国際会議での成果発表を行ない,未使用額はその経費に充てる予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [学会発表] An efficient kernel normalized least mean square algorithm with compactly supported kernel2015

    • 著者名/発表者名
      Osamu Toda and Masahiro Yukawa
    • 学会等名
      International Conference on Acoustic, Speech and Signal Processing
    • 発表場所
      ブリスベン(オーストラリア)
    • 年月日
      2015-04-19 – 2015-04-24
  • [学会発表] A stochastic behavior analysis of stochastic restricted-gradient descent algorithm in reproducing kernel Hilbert spaces2015

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Takizawa, Masahiro Yukawa, and Cedric Richard
    • 学会等名
      International Conference on Acoustic, Speech and Signal Processing
    • 発表場所
      ブリスベン(オーストラリア)
    • 年月日
      2015-04-19 – 2015-04-24
  • [学会発表] Online learning based on iterative projections in sum space of linear and Gaussian reproducing kernel Hilbert spaces2015

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Yukawa
    • 学会等名
      International Conference on Acoustic, Speech and Signal Processing
    • 発表場所
      ブリスベン(オーストラリア)
    • 年月日
      2015-04-19 – 2015-04-24
  • [学会発表] On Kernel Design for Online Model Selection by Gaussian Multikernel Adaptive Filtering2014

    • 著者名/発表者名
      Osamu Toda and Masahiro Yukawa
    • 学会等名
      APSIPA Annual Summit and Conference
    • 発表場所
      SIem Reap(カンボジア)
    • 年月日
      2014-12-09 – 2014-12-12
  • [学会発表] Shrinkage tuning based on an unbiased MSE estimate for sparsity-aware adaptive filtering2014

    • 著者名/発表者名
      Masao Yamagishi, Masahiro Yukawa, and Isao Yamada
    • 学会等名
      International Conference on Acoustic, Speech and Signal Processing
    • 発表場所
      フィレンツェ(イタリア)
    • 年月日
      2014-05-04 – 2014-05-09
  • [備考] Masahiro Yukawa Publications

    • URL

      http://www.ykw.elec.keio.ac.jp/yukawa/pub.html

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公開日: 2016-06-01  

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