研究課題/領域番号 |
24760294
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
羽多野 裕之 静岡大学, 工学部, 助教 (40402531)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 信号処理 / 高度交通システム / 障害物検出システム |
研究概要 |
申請者は,車輌周囲に存在する障害物を検出することを検討している.これにより安全性・環境性・快適性に優れた交通システムが期待できる.現在,カメラやレーダなどの方式が実用化されている.普及に伴う低価格化を受け,信頼性確保のために1方式ではなく複数方式での多重化を試みる.特に近距離の障害物を検出するために,広視野角を有するレーダネットワークとの実現を図る.本助成では単なる多重化ではなく,前方監視カメラ等によって認識された周辺環境情報を元に,周辺からの反射信号をも積極的に駆使することで,レーダネットワークの性能向上を狙うことを目的とする.そして,より高信頼で,より正確に障害物を検出可能なシステムの実現を目指すものである. 上記研究を遂行する過程で,当該年度では(a)実環境に近い,より複雑なモデルで提案手法を評価と,(b)実際の周辺環境情報を収録するセンシングシステムの構築を計画として挙げていた.(a)に取り組むべく,従来の検討よりも具体的な空間モデルを用いて評価を行った.代表例として,本システムが有効に働くであろう運転者の死角が存在する交差点を挙げ,両脇が壁に囲まれたモデルを構築し,評価をした.その結果,提案手法の有効性は確認された. その次に,障害物を点ではなく面として実環境をモデル化するためにシミュレータを導入し,評価を行ってきた.その結果,提案手法の有効性が十分に認められなかったため,現在,(b)に至る前に,手法の改善を行っている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,車輌周囲に存在する障害物を検出するシステムの構築を検討している.特に,近距離の障害物を検出するために,現在実用化されてきているカメラと,広視野角を有するレーダネットワークとの多重化を試みている.本申請では単なる多重化ではなく,前方監視カメラ等によって認識された周辺環境情報を元に,周辺からの反射信号をも積極的に駆使することで,レーダネットワークの性能向上を狙うことを目的としている. 本助成を通しての目的として,「実環境に即したモデルでの評価」と「提案位置推定手法の改善と高度化」を挙げている. 当該年度では,従来まで行ってきていたシンプルな周辺環境モデルと種々の仮定を再検討し,より実環境に近いモデルを想定して有効性の評価を行ってきた.具体的には,レーダネットワークが設置されている自車輌の両脇が壁に囲まれたモデルを構築した.これは,見通しの悪い交差点や,路上駐車等で歩行者の飛び出しが危惧されるシチュエーションを模したものである.提案手法の有効性が認められたため,さらなる実環境を模擬するためにシミュレータを準備し,モデルの構築に取り組んできた.現在,シミュレータによって得られた実環境により近いモデルを用いて提案手法を評価し,改善を行ってきている段階である. 従って,本助成を通しての目的に即して研究が進められてきているといえる.申請当初の提案手法が必ずしも良い特性を得られているわけではないが,改善を図りつつ進めてきている.
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの検討は,シンプルな周辺環境モデルとなっていた.実際の環境下での有効性を十分に把握するため,種々の仮定や空間モデルを再検討し評価を行ってきている.この点について,今後も引き続き行っていく.特に,シミュレータを導入し,障害物のモデル化を“点”ではなく,面や立体物として空間モデルを構築していく.実環境に即した評価をするために必要なプロセスである.これらのモデル化を通じて,提案手法の改善を行っていく.過程の中で,レーダネットワークの仕様(レーダの個数や設置位置など)の策定も行っていきたい.基本的に計算量が増えるなどの事象が懸念されるが,この点についても必要に応じて取り組みを図る.また万が一有効性が確認されない場合は,周辺環境情報(カメラや音,速度センサ,舵角,GPSセンサなど)を利用して必要データの抽出を行うなど,適宜提案手法の改善に努める. 進められるようであれば,シミュレータを脱し,実際の周辺環境情報を利用していきたい.収録するセンサ情報は上記改善手法の行く末に大きく依存するため,未定である.候補としては,カメラや音,速度センサ,舵角,GPSセンサなどである.特にカメラ等の可視的な情報が最も有効と考えられる.本来ならば,撮像した情報から得た壁などの位置情報を利用したいが,申請者は画像処理の専門家ではない上に,撮像データからの位置情報の抽出技術を培うことが本研究の本筋ではない.従って,同様の光学的なセンシングデバイスであるレーザセンサなどを代替利用をすることも視野に入れている.また,専門家との情報交換の中で,都市部の3次元地理情報などが利用できるのではないかとのアドバイスを受けた.この可能性も探っていきたい.不要な研究遂行の滞りを防ぐために,学会参加や専門家とのディスカッション参加等を積極的に行う.特に,技術者のノウハウを譲り受けることが重要であると考えている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|