研究概要 |
近年注目を集めている無線電力伝送システムでは,コンデンサやインダクタンスなどの素子の値,充電中の負荷の変化および送受信アンテナ間の位置ずれが伝送効率などの基本性能に影響を与える.そのため,電力を無線により伝送する際にはできるだけ高効率で電力伝送を行えるよう,事前に伝送する周波数,電力量および回路素子の値などのデータ通信を行うことが必要である. データ通信において,この送受信アンテナの等価回路はBPF(Band Pass Filter)とみなすことができ,その帯域幅は送受信アンテナ間距離によって変化する. 特にアンテナ間が近い場合には共振分裂が起こる.そこで平成24年度には,以下についての検討を行った, 1.共振型無線電力伝送における最適変調方式 データ通信に共振分裂によるフェージングに強い広帯域OFDM信号を用いることにより,伝送エネルギーの高効率化をサポートする通信システムモデルの構築を行った.また,アンテナを設計・製作し,ネットワークアナライザを用いた送受信アンテナ間の伝達特性の評価検討を行った. 2.負荷変動を考慮した無線電力伝送におけるデータ通信 電力伝送システムでは充電時間の経過と共に充電側では負荷変動が生じる.この負荷変動によってBPFの帯域幅が変化するため, データ通信に電力伝送と同じアンテナを用いる場合, 充電によって生じる負荷と帯域幅の変化を考慮する必要がある.そこで,送受信アンテナの等価回路から回路シミュレータを用いて, 伝送路特性を求め, データ通信の伝送に用いる帯域幅を決定した.また, 回路シミュレータで用いる等価回路の受信側負荷を変化させることで負荷変動による帯域幅の変化の影響を観察し,ビット誤り率特性を算出した.
|