研究課題
本研究では,天災や人災等の災害が起きた際に利用する,携帯用照明を用いた人命救助のためのLED可視光通信システムを提案する.災害時にはがれき等の障害物によってLED光が四方八方に散乱する可能性が高く,これによってLED光の減衰・劣化が生じ,信号復調に影響を与えてしまう.平成26年度は,この問題を解決するために2つの研究を遂行した.1つ目はLED光の減衰・劣化についての詳細な解析である.LED光の減衰を送受信機間の通信路の影響と捉え,通信路の変化によるLED光の減衰・劣化の定式化に努めた.その結果,LEDの実際の大きさが受信機側で1ピクセル以上の領域に投影されるかどうかが,受信機に高速度カメラを用いた可視光通信の復調性能を左右するということを理論と実験の双方から明らかにした.2つ目は減衰・劣化したLED光からの信号復調方法の開発である.前年度は,雑音を利用する事により微弱信号を検出する確率共鳴現象に注目し,この現象を応用して問題の解決を図った.平成26年度は確率共鳴現象を用いた研究と並行して,減衰・劣化したLED光からデータを復調するための新たな手法を提案した.受信機にカメラを用いた可視光通信では,通信路の影響やピントずれによって画像が劣化,つまり画像がボケてしまう.この現象は,一般的に二次元ガウス分布に基づく関数で近似でき,ボケた光は同心円状に拡散する.個々のLED光がこの関数に従って拡散するのであれば,任意のLEDの画像上での明るさは,近接するLEDの拡散光の畳み込みで表すことができる.そこで,各LED光の状態を式で表し,その式を解くことでLEDが点灯しているかどうかを判定する手法を考案した.実験の結果,従来方式と比べ,優れた復調性能を持つことを確認した.以上の研究成果の一部を,学術論文で6編(内2編は掲載決定済),査読付国際会議論文で8編発表した.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www.cn.kagawa-nct.ac.jp/~arai/