研究課題/領域番号 |
24760310
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
渡辺 寛望 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (30516943)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ナビゲーション / 地図構築 / ウェアラブル / センサ融合 |
研究概要 |
本研究では,中途失明者を対象として,安全に単独歩行を支援するシステムを研究開発する.中途失明者はメンタルマップの確立が困難であったり,不安や恐怖から単独歩行ができない場合が多い.また,視覚経験や障害の程度などにばらつきが多く,必要とする支援情報も異なるため支援が難しい.本研究では,パーソナル地図を用いて個人ごとに必要な情報を付加し,使用者に適したナビゲーションを行う.さらに,双方向の情報伝達機能を備えることによって,一方的に装置から誘導案内を伝達するだけでなく,使用者によるランドマークの登録や使用者からシステムへ現在位置を尋ねることを可能とする. 本年度は,パーソナル地図の構築について検討,システムへの実装と評価を行った.カメラとレーザレンジファインダで得られた情報を用いて,ナビゲーションに有用なランドマークとして階段を自動的に検出した.検出したランドマークを各階の通路情報に加えて地図を構築した.システムに実装し,ナビゲーションに有用であることを確認した. 今後は,通路情報にランドマークを加えた地図に個人ごとに必要とする情報を付加してパーソナル地図を構築する.さらに,マイクロフォンと入力デバイスを用いて音声またはスイッチ入力によって装置に対して現在位置の通知を要求可能にする.さらに,使用者の好みによって案内方法を切り替えられるように複数種類の案内方法を実装する. 産前産後休暇および育児休業の取得に伴い,平成25年3月11日から平成26年3月21日まで研究を中断した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であるパーソナル地図の構築について核となる機能の検討,システムへの実装と評価を行った.直線のみで構成された屋内の廊下環境で実験を行い,構築した地図がナビゲーションに有用であることを確認した. さらに,環境の複雑度やすれ違う人の数(人の往来)によって地図構築の難易度が大きく変化するが,研究開発の初期では人の往来を管理できる実験環境を設定し,人の往来に対応する場合の問題点と解決策を検討した.解決策をシステムに実装し,解決策の効果を検証しながら環境の複雑度や人の往来を段階的に変えていくことによって,様々な環境に対応していく.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,ナビゲーション機能の実装と双方向情報伝達機能の実装,システムの評価を行う.ナビゲーション機能では,パーソナル地図の特徴を利用して安全な誘導経路を計画する.さらに,複数種類の案内方法を実装し,使用者の好みによって切替られるようにする.双方向情報伝達機能では,音声またはスイッチ入力によって個人レイヤに使用者が情報を登録できる機能を実装する.評価実験では,ナビゲーションのタイミングや稼働継続時間,重量などの評価を行う. さらに,研究成果を学術講演会や国際会議で発表し,システム全体のみではなく,要素技術についても広く発信していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度購入予定であったデータベース,コンバーチブルコンピュータ,触覚ディスプレイ付き入力デバイスは,必要な機能が搭載された機種を購入するため,次年度の研究費として使用する. また,妊娠中および産前休暇のため,予定していたシンポジウムおよび国際会議への参加を断念した.シンポジウムおよび国際会議へは次年度に積極的に参加していく.
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