研究課題/領域番号 |
24760311
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
田村 健一 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (40534912)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | メタヒューリスティクス / 渦現象 / 多点型最適化手法 |
研究概要 |
今年度は,自然界に頻繁に現れる渦現象のダイナミクスがメタヒューリスティクスにおける代表的な戦略と親和性が高いことに注目し,渦現象のアナロジーに基づいた一般的な連続型最適化問題に対する性能の高い新しいメタヒューリスティクスの開発を行うことを目的に行った。得られた研究成果の概要は下記のとおりである。 1) 先行研究で構築した2次元直交座標系上で定義される渦モデルを一般化し,n次元直交座標系上で定義される任意の渦心を持つ渦モデルを開発した。具体的には,n次元回転行列にスカラ定数を乗ずることで定義されるn次元渦行列を構築することによって行った。 2) 1)で構築した渦モデルを用いて一般的な連続型最適化問題に対する「渦最適化」と呼ばれる新しいメタヒューリスティクスを開発した。具体的には,その渦モデルを複数用いて,探索過程で得られた最も優れた解を共通の渦心とする相互作用を与えることによって,多点型の最適化モデルを導出した。 3) 多様なベンチマーク問題に対して,様々な計算条件のもとで「渦最適化」の数値実験を行い,性能評価を統計的に行った。他の代表的なメタヒューリスティクスの結果と比較し,提案手法の有効性を検証した。 4) 提案手法の数値解析と数式解析を行った。これにより「渦最適化」が具備する二つのパラメータが探索性能へ与える影響を,様々な条件と関連付けて解明することができた。これはパラメータ設定・調整法の開発に活用することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究が計画通りに進み,一定の成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果を踏まえて以下の課題に取り組む。 開発した渦最適化モデル(アルゴリズム)の探索性能および利便性を向上させるために,それが有する収束率と回転率の2つのパラメータの設定・調整法を開発することを目的とする。回転率パラメータに関しては数値・数式解析を踏まえて探索効率のよい設定法を導出する。収束率パラメータは計算回数の条件(時間)と領域の条件(距離)から探索効率のよい方法を導出する。導出したパラメータ設定・調整法の有効性を多様な問題・計算条件下での数値実験によって評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は効率的な予算執行で研究を進められたため予定とおり執行したが端数残金が生じた。次年度の計画は次のとおりである。得られた成果を国内および国外の学術会議で発表する際の旅費および参加費として使用する。得られた成果を論文誌で発表する際の掲載費として使用する。数値実験補助として雇う大学院生への謝金として使用する。研究遂行上必要な消耗品や図書・雑誌の購入等に使用する。
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