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2012 年度 実施状況報告書

筋面積測定を目的とする3次元位置センサを用いたマルチスキャン超音波システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24760315
研究機関静岡大学

研究代表者

福元 清剛  静岡大学, 工学部, 助教 (60600129)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード超音波 / 横断面画像 / 筋横断面積 / 高齢者 / 要介護者
研究概要

筋横断面積(以下,筋面積)はヒトの生活能力やリハビリテーション,トレーニングの効果などの客観的な評価に有用な指標である.しかしながら筋面積を測定するにはMRI やX 線CT といった大型の装置を用いる必要があり,高齢者や要介護者を対象とする測定には不向きであると考えられる.そこで本研究では,被測定者の姿勢や身体的制限に影響されることなく,自由に筋横断面画像を測定できるマルチスキャン超音波システムの開発を行った.
本システムは,超音波装置の探触子と2つの3次元ポジションセンサを組み合わせた計測ユニットおよび計測ユニットから得られた超音波画像を合成し,1枚の横断面画像を構築する画像処理ソフトウェアから成る.画像計測では,計測ユニットの探触子を被測定者の身体に直接接触させ,皮膚上をゆっくりと動かしながら走査する.計測ユニットは自由に動かすことができるため,身体のあらゆる部位の計測や被測定者のさまざまな姿勢に対応することが可能である.2つのポジションセンサから得られる座標や角度情報から,リアルタイムで超音波探触子先端部の座標や傾きが算出され,この座標情報を基にして画像処理が行われる.
横断面画像の合成処理では,探触子先端部の座標および傾きに合わせて超音波画像の移動および回転が行われる.そして画像同士が重なり合う領域においては相関係数の算出および輝度平均を取ることで1枚の横断面画像を得る.
本システムの完成により,高齢者や要介護者が対象であっても,測定姿勢を拘束することなく,簡便に筋面積を得ることが可能であると考えられる.このため,要介護予防やリハビリテーションなどにおける客観的な指標を得る手段として利用されることが期待される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに,超音波システムの計測ユニットおよび画像処理ソフトウェアの開発をほぼ終了している.計測ユニットは,超音波装置(LOGIQ e,GEヘルスケア社製),3次元ポジションセンサ(3D Guidance trakSTAR,Ascension社製)およびT字型の固定器具(メカトロニクス社製)から成る.固定具の中央部に超音波探触子,両端部に2つの3次元ポジションセンサがそれぞれ取り付けられており,2つのポジションセンサから得た座標および傾きを平均することで探触子先端部の座標および傾きを求める.なお片方のポジションセンサからの値が不当であると判断した場合は,もう片方のセンサから得た値のみを採用する.
画像合成では探触子先端部の座標および傾きに合わせて超音波画像を移動および回転させる.画像同士が重なりあう領域に関しては,探触子先端部の座標を中心とした5 pixelの領域内で画像を移動させ,各位置で画素値の相関係数を算出し,最も相関係数の高い位置で画像合成を行った.
申請書の研究計画では「マルチスキャン超音波システムの開発」および「楕円フィッティングや相関係数を用いた画像合成」を当該年度の目的としており,上記の通り,ほぼ達成していると言える.

今後の研究の推進方策

今後は開発した超音波システムの精度検証やフィールド計測における有用性を評価する予定である.まず精度検証として,既存の横断面画像撮影装置で得られた画像と筋面積の比較を行う.既存装置としてはMRIが候補であったが,測定を予定していた施設が使用不可となったため,我々が以前開発し,MRIとの比較で高い精度を示したリンク機構型超音波システムの使用を考えている.対象者は20 名(男性10 名,女性10 名)とし,測定部位は大腿部および下腿部とする.各システムの横断面画像から筋面積を求め,比較を行うことで精度を検証する.
フィールド計測における有用性を検証するために,フィールド測定を実施する.対象者は若年者,健常高齢者および要介護高齢者それぞれ20 名程度とし,若年者および健常高齢者については姿勢の変化に本システムが対応できるかを検討するため,臥位,座位,および立位の姿勢を順次とらせ,それぞれの姿勢で右大腿部および下腿部の筋面積測定を行う.また要介護者はベッド上での臥位のみとする.測定後に被測定者に対し,測定時の負担や不快感などについてのアンケート調査を行う.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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