研究課題/領域番号 |
24760317
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
丸 浩一 香川大学, 工学部, 准教授 (00530164)
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キーワード | 計測工学 / 計測機器 / 速度計測 / レーザドップラー速度計 |
研究概要 |
プローブ内に移動機構を設けなくても測定点を走査可能とする高信頼・小型な走査型LDVを実用化するための技術開発として,以下を実施した. (1)速度方向識別化:2方向から光を検知し,直交検波を用いることにより2次元速度ベクトルを識別する方法を開発した.実験用光学系を構築し,回転体ターゲットを測定対象とした検証をおこなった結果,2次元速度ベクトル識別可能となる見込みが得られた. (2)2軸走査型LDVの開発:音響光学変調器(AOM)を用いることで速度方向識別化した2軸走査型LDVを開発した.AOMの適用に向けて,まず,本体とプローブ間の伝送路を1本とした深さ方向走査型LDVを開発し,実験により測定点走査と速度方向識別が同時に可能であることを確認した.次に,2本の伝送路を用い,使用する伝送路を本体側で切り替えることで深さ方向または横方向に走査方向を切り替える手法を開発した.実験の結果,2軸走査と速度方向識別が同時に可能であることを確認した. また,深さ方向と横方向の2次元的な速度分布計測を可能とする走査型LDVを開発した.光スプリッタによって分岐した複数のビームをプローブに導入し,各ビームを異なる測定点に入射することで横方向速度分布を計測した.複数の周波数シフタを用いて各ビームを異なる周波数だけシフトすることで測定位置を識別した.また,回折格子と波長可変レーザを用いることで深さ方向に測定点を走査した.原理検証実験の結果,2次元的な速度分布の計測が可能であることを確認した. (3)ミニチュアプローブ開発:ミニチュアプローブの第2次試作として,設計を変更した深さ方向走査用LDVの光学系を検討した.実験の結果,小型化しないタイプと同様の速度計測性能が得られることを確認した. (4)集積化走査型LDVの基礎検討:光導波路を用いた集積化LDVに必要となる空間結合系の原理検討をシミュレーションにより実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題(1)速度方向識別化に関しては,2次元速度ベクトルを識別する方法を確立した.研究課題(2)2軸走査型LDVの開発に関しては,1台のプローブで深さ方向と横方向の両方向を走査できる2軸走査型LDVの速度方向識別機能を実証した.また,2次元的な速度分布計測手法を提案し,実験により2次元速度分布計測可能であることを実証した.研究課題(3)ミニチュアプローブ開発に関しては,小型プローブにより従来と同様の速度計測性能が得られることを実証した.研究課題(4)集積化走査型LDVの基礎検討に関しては,集積化LDVに必要となる空間結合系の原理検討に着手した.これらのことから,本研究が順調に進展しているものと判断する.
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今後の研究の推進方策 |
研究課題(2)2軸走査型LDVの開発,(3)ミニチュアプローブ開発,(4)集積化走査型LDVの基礎検討を引き続き実施し,各課題を進展させるとともに,研究の総合評価をおこなう. (2)では,1台のプローブで深さ方向と横方向の2次元的な速度分布計測を可能とする走査型LDVの高性能化を試みる. (3)では,より高機能な小型プローブを開発する. (4)では,集積化LDVに必要となる空間結合系の設計を進展させる.また,回折格子をアレイ導波路型回折格子に置き換えた光回路を設計し,性能を見積もる.
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