研究課題/領域番号 |
24760318
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
田邉 将之 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (00613374)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医用超音波画像 |
研究概要 |
本研究は、乳がんの早期発見を目標に、高精細な乳腺超音波画像化の実現を目指す。具体的には、パルス圧縮技術、生体高調波画像化法、そして分離統合法を効果的に組み合わせたリアルタイム画像化手法を提案し、高調波の位相成分をパラメータに用いた新たな定量評価方法の検討を行う。しかし、分離統合法で複数のチャープ信号を送信しながらリアルタイムでBモード画像を生成するためには、フレームレートの低下を回避することが非常に重要となる。また、従来のパルスによる乳腺組織の画像化にはリニアアレイ振動子が用いられる。リニアアレイ振動子を用いたパルスによる画像化手法として、複数の振動子から時間差を与えて音波を送信することで特定の方向に伝搬させたり特定の深さにフォーカスさせる「フェイズドアレイ法」や、複数の振動子で受信したエコー信号を解析し高分解能な画像を生成する「開口合成法」などが存在するが、画像化対象までの距離に応じて時間シフト処理を行った後に圧縮処理をするため、信号長が長いと信号の一部分のみが時間シフトされ、圧縮時にエラーが発生し距離分解能が低下することが知られている。 パルスを想定した上記のいずれかの画像化法をベースとし、フレームレートを維持したまま複数のチャープ信号による高精細画像化が可能となるアルゴリズムについて検討を行い、シミュレーションを行った。その結果、パルス圧縮を用いたことにるSNRの向上に関しては、目標を達成する目処がついたが、照射エネルギーが増大することから、生体への音波照射による影響を十分考慮する必要があるという考えに至った。そのためこれまでのパルス圧縮の方式を改め、少ない照射で十分なSNRおよび空間分解能を有することの可能な超高精細超音波画像の生成方法の検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
導入したパワーアンプを含めた実験系の構築を行ったが、納入後に故障していたことが判明し、当初予定していた通りの実験を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、画像の超高精細化を進めつつ、それと並行して、昨年度に得られた基本波画像および高精細画像からスペックルパターンの輝度値の確率密度分布を検証する。超音波画像のスペックルは生体組織の分布構造を表しておらず、散乱や干渉によって生じていることから、送信信号の周波数帯域幅や時分割数、場合によっては画像の生成方法も変えながら、病変の進行とスペックルの確率密度分布の関係を調査する。この時、乳房を模擬したファントムを用いた非生体実験で得られた高調波の位相情報も参照しながら、両者ともに定量評価のパラメータとして適切であるか判断する。そして、これらの情報が評価パラメータとして使用可能であると判断した際には、それぞれに重み付けを与えるのか、一方をもう一方の補助的指標とするのか等、複数の評価アルゴリズムを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
パワーアンプの無償修理は問題なく完了したが、予備実験を行ったところパワーアンプで発生したノイズレベルが大きく、in vitro実験を行う上で十分なSNRを得ることができなかった。そのため、パワーアンプで発生したノイズを除去する改良を行う。
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