研究課題/領域番号 |
24760319
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
光木 文秋 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (00398257)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光波マイクロホン / 沿面放電 / 放電音 |
研究概要 |
本研究は、沿面放電生成時に放出される音波を光波マイクロホンを用いてCTスキャンすることにより、電極上の任意の高さにおける放電音場の2次元分布を計測することを目的としている。H24年度ははじめに、通常の光波マイクロホンシステムによるCTスキャンを試みた。しかし、放電時に発生する電磁ノイズの影響を取り除くことが難しく、計測に支障をきたした。そこで、H24年度後期に、光ファイバーを用いた光波マイクロホンシステムの構築を行った。ファイバー系のシステムでは、各レンズ間の光路をファイバー内におさめることで、取り回しの自由度が高くなり、ノイズが入りにくくなることが期待される。なお、ファイバーにはシングルモードファイバーを用いた。このシステムでは、レーザ光の受光器の設置位置は任意であり、沿面放電電極や高電圧電源から遠ざけて設置することで電磁ノイズを大幅に取り除くことができた。また、音波入射位置以外は全てファイバーで覆われていることから、計測対象以外の音波の影響も皆無であった。通常のコンデンサマイクではマイクの位置を観測位置に近づける必要があるため、このようなノイズ対策は不可能である。よって、光を用いた音波検出は、放電音場のような音波と電磁ノイズが共存するような環境では非常に有効であることがわかった。 また、このファイバーシステムを並列に複数設置するための固定器具をセットアップした。音波入力位置両端のレンズの調整が非常に重要であることがわかったので、簡単に調整できるよう工夫を施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度前期は、放電もしくは高電圧電源から発生するノイズの影響や発生源についての調査や対策に時間を消費してしまったがノイズに対する一定の理解を得ることができた。ファイバー系の光波マイクロホンシステムを1系統構築し、超音波振動子からの音波や沿面放電からの音波を計測することができた。また、ファイバー系の光波マイクロホンシステムを複数個並列に設置するための器具も準備した。ほぼ当初の計画書どおりに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、ファイバー系光波マイクロホンシステムを1系統作製している。今後は、これを複数系統準備し、沿面放電音波のCTスキャンを行う。 沿面放電電極にて、ガス種、放電電圧、プラズマ発光をパラメータとして変化させた場合の音場分布を比較し、音場分布が何によって影響を受けるのか調べる。また、理論計算により放電音圧も求める。2次元音場分布を計測する平面の電極表面からの高さを変えることで放電音場の3次元分布を作製する。また、その際、放電音の周波数成分ごとに分けて分布を作製する。電極近傍では、衝撃波が捉えられることがわかっており、その到達スピードからテイラーモデルを用いて衝撃波のエネルギーを見積もる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ファイバー系光波マイクロホンシステムを1系統製作したが、2次元音場分布のためには、複数系統が必要となる。次年度は、約4系統を並列に並べたシステムを考えており、ファイバーシステムを4系統揃える予定である。ただし、受光器は1つとし、スィッチングデバイスにより、2次元音場分布を計測する予定である。 また、海外での研究発表を1件予定している。
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