本申請における研究成果は,次世代光ファイバとして注目されているフォトニック結晶光ファイバ(PCF)の光伝送特性(波長分散特性、電磁界分布、非線形光学特性)を数値解析(有限要素(FEM)法)と,実測(位相シフト法,ファーフィールドスキャン法,自己位相変調法)による双方向評価を行うことで,様々な構造特性を有するPCFの伝送特性評価を明確にし,その結果を用いることでPCF構造特性と光伝送特性の相関性の検証を行った. さらに非線形シュレディンガー方程式のソフトウェア開発も併せて行った.これによりPCFに超短(フェムト秒)光パルス光源を入射することで得られる超広帯域(スーパーコンティニューム:SC)光源の数値解析検証も行った.以上より得られたPCFの構造特性-光伝送特性の相関性を明らかにすることで,様々な複雑な構造のPCFでもその伝送特性の一般解が把握でき,かつ様々なPCFに対するSC光源発生効率の一般解を示した.更にSC光源を用いた生体光イメージング顕微鏡への応用への検証を行った.本研究により得られたSC光源は400nm-2200nm(帯域1800nm)の超広帯域光源の特性を有しており,そのSC光源を分光光源として任意の波長を抽出する光学系(同軸落射型-生体顕微鏡)を試作した.研究協力者より提供された測定資料は,蛍光分子を含んだ「ヒト肺腺ガン細胞」と「ヒト乳ガン細胞」を用いた.また本研究で試作した「SC光源を用いた同軸落射型-生体顕微鏡」の性能評価を行うため,市販されている「蛍光顕微鏡」2機種(光源タイプが,ハロゲンとメタルハライド)との同一サンプル比較を行い,その結果をImageJソフトウェアを用いて検証を行った.その結果,評価項目に優劣は有るが,本研究で試作を行った生体顕微鏡が良い結果を示した.SC光源は「高コヒーレント・高指向性・超広帯域」特性が性能向上の要因だと確認できた.
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