研究課題/領域番号 |
24760322
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
折本 寿子 (益池 寿子) 県立広島大学, 経営情報学部, 講師 (80533207)
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キーワード | 機械の異常診断 / 確率論 / 外部雑音 / 内部雑音 / エネルギーの加法性 |
研究概要 |
■外来雑音が混入した場合の状態推定法 雑音には,外部から混入する場合と機械の内部に存在する場合の2種類が考えられる。そこで,外部雑音は加法性が考慮できるエネルギー変量ととらえ,加法性雑音とした。また,内部雑音は実音に影響するため,積算の形のモデルを考え,状態推定法を行う手法を考察した。比較の為,内部雑音が信号音と独立な場合,内部雑音を考慮しない場合,カルマンフィルタを利用した場合,拡張カルマンフィルタを利用した場合の実験を行い,提案手法の雑音混入モデルが最も雑音を取り除くことができることを検証した。 ■異常診断法の状態推定法のモデル化 機械が稼働している間,通常,正常な情報のみが取得可能である。そこで,機械の異常診断を行う場合,正常な状態の時に状態変数を事前に学習させた。機械に異常が発生した場合,事前学習させた状態変数との相関関係に変化が生じることで予測誤差が発生し,異常状態が判断できる予測分布法を考察した。理論の有効性を検証するため,歯車に傷がある場合と,ベアリングにひずみがある場合において,それぞれ実験を行い,相関関係の変化による予測誤差の開きによって異常発生予測を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,外来雑音混入部分と異常診断法のそれぞれの分野で研究を行った。雑音混入下での実験結果において,公知なカルマンフィルタや,拡張カルマンフィルタとの比較を行い,いづれのフィルタより,本手法で提案したフィルタの推定誤差が少ない結果を得ることができた。 また,機械の異常診断においては,正常な状態の時の情報が得られた場合において,異常状態が推定可能な診断法を導出できた。 当初予定は,異常診断法において外来雑音が混入した場合の状態推定法を考察する予定だったが,研究の進捗を明確にするため分野を2つに分けて研究を進めた。その結果,異常診断法に外来雑音混入した場合の推定法の導出が昨年度中に実施できなかったが,外来雑音混入の部分,雑音が混入していない異常診断の部分において,今年度予定していたプログラムの一部を作成し検証を行うことができた。 よって,今年度終了時には予定通りのスケジュールになると予想できる。
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今後の研究の推進方策 |
機械の異常診断法の状態推定法に外来雑音が混入した場合の状態推定法を考察する。まず,外来雑音に対し,外部雑音のみの場合を考え,雑音除去の手法を検討する。導出したフィルタに対し,プログラムの作成,実験を行う。その後,内部雑音がある場合も同様に考慮し実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文の別刷り費用として計上していたが,今年度中に論文掲載が間に合わず残額が生じた。 現在投稿している論文の掲載が決まったのち,別刷り印刷費用として使用する。
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