本研究では、レーザ加工分野で測定需要の高い近赤外波長の高出力レーザにおけるビームパワー密度の定量評価を行うための、イメージセンサを用いたレーザパワー測定技術の開発を目的とし、レーザ測定に適したイメージセンサの感度評価技術と高耐力なレーザ光減衰技術の開発に取り組んだ。前年度までに集束レーザ光を用いたアンダーフィル条件下でのCCD感度校正技術の開発とプリズム対を用いた光減衰器の原理検証を行った。当該年度は、イメージセンサを用いたレーザパワー測定における誤差要因の評価とレーザ光減衰器の評価に取り組みつつ、従来型の熱型レーザパワーメータとの比較測定を行って提案手法の妥当性を検証した。 マルチモードレーザビームの測定では、センサ受光面感度の不均一性が誤差要因となる。そこで1064 nmと532 nmの二波長において空間均一光源を構築して評価を行った。その結果Siのバンドギャップよりも長波長側の近赤外領域においては、いずれのCCDでも露光時間に依存して感度均一性の著しい劣化が生じること、露光時間の延長により不均一性が改善されること、一方でCMOS型センサでは上記の劣化は見られないことを明らかにした。これを元にCCDの電荷転送機構に由来する感度特性劣化のメカニズムを考察し学会発表を行った。レーザ減衰器の開発では、高出力レベル(1064 nm、10 W、φ3 mm)において従来型減衰器との比較評価を行った。提案手法はコンパクトでありながら-70 dB以上の減衰を与えてもプロファイルに擾乱はなくイメージセンサ前段設置用の高出力レーザ減衰器としての有効性を確認した。最後にイメージングパワーメータの感度校正を行い既存の熱型パワーメータとの比較を行って不確かさの範囲内でレーザパワー測定値の整合を検証した。
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