研究課題/領域番号 |
24760332
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
澤田 賢治 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80550946)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 制御工学 / ソフトウエア開発効率か・安定化 |
研究概要 |
本研究の目的は,電子制御用ソフトウエアにおける安全検証問題に対して,量子化制御からアプローチした安全解析・安定化アルゴリズムを構築することにある.本年度は実機検証のための基礎理論構築を中心に進めるたが,同時に実機実験用の環境も構築した. 理論面では,まず,制御系の構造の一般化を行った.具体的には,制御対象の挙動を推定するような観測器を内包する量子化器の設計方法を離散時間系で与えた.これにより,電子制御ソフトウエア内の制御プログラム離散値近似の影響推定方法の基礎を与えた. つぎに,制御対象の連続時間上での挙動を詳細に評価できるように,動的量子化器の連続時間上での設計方法を与えた.具体的には,数値最適化手法に基づく方法と解析表現に基づく方法を与えた.また,その結果をサンプル値制御へと拡張し,連続時間上の制御対象と離散時間上の制御プログラムが混在するハイブリッド系に対する動的量子化器の設計方法も与えた.これにより,制御系のロバスト化も達成できるようになった.上記の結果は国内学会で発表し,国際学会にも受理され発表予定となっている. 実験面では,制御プログラムの実装を容易にできるような無線通信型の実験装置を構築した.実験器具の性能検証のために,連続時間型の有限時間整定制御の実装研究を本学の学生と行った.内容としては,スパース最適化と有限時間整定制御と無線通信を繋げる内容であり,理論面でも新規性のある結果となった.本内容は国内学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の当初の研究実施計画では「多変数の論理分岐を考慮した量子化要素表現」を予定していたが,先に平成25年度の「連続時間と離散時間の混在したハイブリッド表現」に対する研究成果を上げることができた.すなわち,当初の研究実施計画の順番が入れ替わっただけなので,おおむね順調に研究は進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は多変数の論理分岐を考慮した量子化要素表現に関する研究を行う.具体的には,離散値近似後の制御プログラムと近似前の制御プログラム間の誤差解析には,量子化誤差のセクター不確かさに関する研究代表者の既存解析手法の拡張を予定している.設計の見通しを良くするために,制御系構造を状態フィードバック型,システム表現を離散時間線形システムに限定して研究を進める また,平成24年度の研究成果の1つである制御系のハイブリッド化に関しては,制御構造が限定されていて,実装に適した結果となっていない.したがって,ハイブリッド表現の一般化についての研究も行う. 平成24年度に構築した実験機器は制御プログラミングにJAVA前提としたものである.制御プログラムの実装の容易性のために,MATLAB/Simulinkと連携できるように制御ソフトの書き換えを行う予定である.また,前年度提案のアルゴリズムの実装方式検証のために,複数の制御系開発ソフトウエア(Matlab, Maple,ZIPC)を連動させた電子制御系のシミュレーション実験環境の構築も行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
まず,制御系開発ソフトウエアとして,Maple等の購入を予定している.つぎに平成24年度の研究成果を国際学会で2件発表予定となっている.また,研究成果を論文として投稿予定である(1件国内論文採択,1件国際論文投稿中,1件投稿準備中).また,調査研究のために,ソフトウエアテストに関する国内の研究会や国際学会にも適宜出席予定である.
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