研究課題/領域番号 |
24760332
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
澤田 賢治 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80550946)
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キーワード | 制御工学 / ソフトウエア開発効率化・安定化 |
研究概要 |
本研究の目的は,電子制御用ソフトウエアの安全検証問題に対して,量子化制御からアプローチした安全解析・安定化アルゴリズムを構築することである.平成25年度は実機実装のための理論の一般化と平成24年度に続き実機実験のための環境構築をおこなった. 具体的に理論面では,平成24年度の成果の1つである制御系のハイブリッド化手法の一般化を行った.これまでフィードフォワード系に限定されていたものをフィードバック系へ一般化を行った.また,これまで「動的量子化器」という2段階設計でしか設計できなかったものを,「ノミナル制御器と動的量子化器」の同時設計に関わる新しい成果を与えた.同設計手法はこれまでの2段階設計を含む枠組みであり,制御系構造の簡潔化に繋がるものである.上記の手法は国際学会で発表し,既に海外ジャーナルに受理されている論文もある. また,派生研究として,半導体生産装置における自律無人搬送台車の搬送スケジュール最適化の研究も行った.同研究では,搬送台車の搬送路を空間的に量子化し,この空間量子化が搬送スケジュールの搬送精度に関わる問題を扱っている.1件の国際学会,1件の国内学会,1本の学術論文としてまとめることができた. 実験面では,平成24年が無線通信制御系の構築だったのに対し,平成25年度では制御対象側の組込系の構築を本学の学生と行った.成果の1つとして,トランクションコントロールにおける高速滑り検出手法を組込系で実現することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究に関わる学術論文が4本(国内1,海外3)受理され,2013年には国際学会5件を発表することができた.また,2013年に投稿した論文が2014年度にはPublicationに成る予定である.当初の予定より多くの成果を出すことができている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成25年度までの研究成果を国際学会発表や海外ジャーナルへの投稿を通してまとめていく予定でさる.現時点でも,国際学会1件発表予定,英語論文2本投稿状態である. また,理論面では,「ノミナル制御器と動的量子化」の同時設計に対するハイブリッド表現の導入を行う.これにより,制御器実装時における煩雑さを提言することを目指す.制御系の解析条件や設計条件はこれまでの成果より煩雑になるかもしれないが,制御器自体の実装は少なくともこれまでよりも煩雑化されることはない. また,非線形制御系への対応も考慮し,多項式型非線形システムに対する動的量子化器の設計手法にも着手する.具体的には,非線形量子化制御問題を2乗和多項式に基づく数値最適化問題へ帰着する方法を考える. 自律搬送台車の搬送スケジューリングに関わる研究として,モデル予測制御の導入によるスケジュール高速化についても着手する.同研究の実システムへのアルゴリズム実装については,関連企業との連携で進める予定である.
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