研究課題/領域番号 |
24760336
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
櫻間 一徳 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10377020)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ネットワークシステム / 分散制御 |
研究概要 |
本年度は,ネットワークシステムにおいて実装可能である,すべての分散制御器を表現する方法を世界に先駆けて提案した.この表現によって自由度となるパラメータが明示されるため,パラメータ調整によってシステム全体の制御性能を向上させることが可能となる. 本研究によって,このパラメータが,クリークと呼ばれるネットワーク上の完全サブグラフの単位で存在することが明らかになった.これによって,分散制御器という制御理論の概念とクリークというグラフ理論の概念が結びつき,分野を横断する技術基盤が確立された. さらに,本研究では,提案したパラメータ表現を用いて最適分散制御器を設計する手法を体系化した.これによって,エージェント同士の所望の関係をある集合で表現するだけで,自動的に最適分散制御器を設計することが可能となった.本手法は,これまで各分野で試行錯誤的に行われてきた分散制御設計を根本的に変える技術である. 近年,群ロボット,高度道路交通システム (ITS),スマートグリッド,GPS用の人工衛星群など,ネットワークでつながれた大規模システムが急増しており,その制御系設計は急務である.本研究の結果によってこれらの制御性能を余すことなく引き出すことが可能となるため,その社会的インパクトは大きい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画にある「すべての分散制御器のパラメータ表現」,および,その結果を利用した「分散制御器設計法の確立」に成功したことが理由である.関連する論文として,査読付き学術論文誌4本,査読付き国際会議2本が採録された.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,提案する設計理論の実用可能性を検証するため,アクティブノイズコントロール(ANC)システムを設計する.ANCとはマイクで集音した騒音を,スピーカを用いて消音する技術である.広範囲に消音するためには,複数のマイク・スピーカを用いるマルチチャンネルANCが必要となる.提案する分散制御器設計法によって,低負荷・高性能で大規模化可能な分散制御型ANCシステムを構築する.これ以外にも様々なネットワークシステムへの応用可能性を模索する.
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次年度の研究費の使用計画 |
ANCシステムの実験機を製作する.このシステムは消音機能のあるユニットを複数用意し,それを並べたものである.ひとつのユニットに対して,パソコン,DSPボード,AD/DAボードが必要である.本研究では,分散制御の効果が確認できるように,このユニットを3セット(以上)購入する.その際に研究費を利用する.さらに,成果発表のために,毎年,国内2回,国外1回の学会発表を行う.このための旅費および参加費のために研究費を利用する.これ以外に,参考文献収集,セミナー参加,論文投稿のために研究費を利用する.
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