研究課題
若手研究(B)
本研究では、制御系設計問題における行列ランク最小化問題の応用について研究し、効率の良い解法を与えることが目的である。本年度は、制御系設計に適した行列ランク最小化アルゴリズムの導出を行った。制御系設計における行列ランク最小化問題のアプリケーションとしてシステム同定問題がある。通常は最小二乗法等でシステム同定を行うが、システムの次数が未知である場合には、行列ランク最小化問題として定式化される。システム同定問題における行列ランク最小化問題の特徴として、観測データに多くの雑音が加わっているという問題がある。雑音が多い場合には、通常よりも高いランク、すなわち、高次元モデルとして同定されてしまう。本研究で導出した行列ランク最小化アルゴリズムは、観測データに雑音が付加されていることを前提にしたアルゴリズムである。特に、制御系のシステム同定の場合には、予め雑音の大きさを想定することが可能で、提案アルゴリズムでは、雑音の大きさを指定することで効率良く最適化計算を行うことができる。雑音を考慮した行列ランク最小化問題は、条件分岐を伴うアルゴリズムとなるが、条件分岐を無限級数で表現し、級数の有限和で近似することで、高速なアルゴリズムを提案している。数値例により、すでに提案されているIRLS法(Iterative Reweighted Least Squares Algorithm)に比べて高速に行列ランク最小化問題を解くことが可能であることを示した。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、制御系設計問題における行列ランク最小化問題の応用について研究し、効率の良い解法を与えることを目的としている。本年度は制御系に適したアルゴリズムを提案することができ、また、数値例でもその有効性を示している。学術論文にも投稿し、掲載された。これは当初の計画通りであり、研究は順調に進展している。
24年度に引き続き研究を行う。とくにアルゴリズムの高精度化、高速化に注力して研究を進める予定である。国際会議での発表と、学術雑誌への論文投稿を予定している。
国際会議への出張、および、数値計算ソフトウェアMATLABのライセンス料として使用する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E95-A/ 9 ページ: 1627-1630
電子情報通信学会論文誌
巻: Vol.J96-D/7 ページ: 1-1
巻: Vol.E95-A, No. 10 ページ: 1788-1791
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems
巻: E95-D/ 8 ページ: 2150-2153