行列ランク最小化問題の制御系設計への応用として、システム同定問題に取り組んだ。通常のシステム同定と異なり、観測信号に欠損がある場合でも、システム同定できるのが特徴である。昨年度に導出した行列ランク最小化アルゴリズムである iterative partial matrix shrinkage algorithm (IPMS法)を利用することで、行列の核ノルム最小化に基づく行列ランク最小化アルゴリズムに比べて、制度よく欠損データを復元し、正しくシステム同定が行えることが確認された。核ノルム最小化法では、信号の特異値の和を最小化するため、実際の信号が持つエネルギーよりも小さく推定される。これに対し、IPMS法は主要でない特異値のみを最小化するので、エネルギーを小さく見積もることはなく、正しく推定される。 提案するシステム同定手法を信号復元法に応用し、新しい信号復元手法を提案した。この結果は、IEICE Trans. on Information and Systems に掲載された。
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