研究課題/領域番号 |
24760344
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (60599207)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 制御工学 / アルゴリズム / 確率近似法 / 数理工学 / 国際研究者交流(イタリア共和国) |
研究概要 |
本年度は研究計画に沿って、非線形方程式に対する確率近似法の停止則を研究した。既に得ていた萌芽的な研究成果の導出過程の改善を行った結果、反復回数を十分に多くすると、停止則が意味する真の解への収束率が、従来知られていた漸近的な収束率と一致することが分かった。つまり、この停止則が反復回数と問題サイズとの関係について精密な知見を与えていることを暗示している。さらに、非線形方程式をとくための標準的な確率近似法以外にも、このように停止則を構成することができるかも考えた。対象としたのは、最適化問題のための有限差分確率近似法、同時摂動確率近似法、ならびに Polyak 博士により提案された平均化法である。いずれの解法についても、同じ意味で停止則を構成することができた。 また、もう一つの研究課題としてあげた、解が一意にでない場合に停止則を構成可能かについては、イタリア共和国、イタリア国立研究評議会電子情報通信研究所の Roberto Tempo 博士、Fabrizio Dabbene 博士と共同で研究を行った。その結果、システム同定問題を解く際に表れる非凸で最適解が一意ではない最適化問題に対して確率近似法が確率1で解を求めることができることを導いた。この問題は、明確に制御問題への応用を意識しているという点で非常に興味深い。次年度は、この研究をさらに進め、停止則を構成できるかについても考えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題「確率近似法の停止則」について、非線形方程式の求解問題、最適化問題を対象に、停止則を構成することができた。これは本研究課題の根幹をなす部分である。研究目的の一つである反復回数と問題サイズとの関係についても精密な知見を与えているであろう傍証を得ることもできた。また、外国の研究者らと共同研究を行い、本研究課題を提案した際には想定していなかった問題を扱うなど、研究は新たな展開を見せている。よって、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に研究した成果を完成させ、集中的に論文をまとめていく。その過程でもう一度、課題を洗い出す予定である。今年度はじめた研究課題については、これから停止則を構成出来るかについて研究を進めていく。共同で研究を進める中で、新たな展開があると予想されるため、次年度もイタリアに短期間滞在する予定である。また、当初の研究計画にあげている種々の更新則を用いる場合の停止則についても、本年度同様さらに研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、本年度イタリアに滞在して行った研究を進めるため、一ヶ月ほどイタリアに滞在する予定である。また、本年度の研究成果が国際会議論文として採択されたため、発表を行うため出張する予定がある。本年度繰り越す研究費と次年度に交付予定の研究費をこれらの費用にあてる予定である。
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